物事を調べるときにGoogleを利用して検索すると、検索結果の上位に広告が表示されます。広告が表示される順位はさまざまな要素の組み合わせでその都度決まり、上位に表示されるためには競合他社とのオークションで競り勝たなければなりません。自社の課題や競合他社の特徴を知るために有効な無料ツールが、Google広告の「オークション分析」です。
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目次
Google広告のオークション分析とは?
Google広告のオークション分析とは、Googleに出稿している自社の広告について、同じオークションに参加している他の広告主と掲載結果を比較できる機能です。正式名称を「オークション分析レポート」といいます。Google広告の仕組みは「入札単価」「広告の品質」「広告表示オプションやその他の広告フォーマットの効果」に基づくオークション形式です。ユーザーがGoogleで検索したり、閲覧したりするたびに広告オークションがおこなわれ、表示する広告を決めています。そのため、広告を出稿したあとも、オークション分析を確認しながら効果的に表示されるように調整していくことが大切です。
広告のクリック率が急に下がった場合、その理由を分析するのにオークション分析を使うことができます。例えば、A社の広告のうち、人気のおもちゃ「X」を検索するときのクリック数が急に減ったと仮定しましょう。オークション分析を確認すると、キーワード「X」で検索した場合、「X」を取り扱う別の会社、B社の広告がA社よりも上位に表示されることがわかりました。A社はB社よりも上位に表示されるように、入札単価を上げるなどの対策を取る必要があります。
オークション分析はGoogle広告のみに備わっている、競合分析に欠かせないツールです。Google広告の広告管理画面から確認ができ、「他社の広告がどれぐらい表示されているのか」や「自社より上位に掲載される割合はどれぐらいあるのか」など、さまざまなデータを知ることができます。また、自社の広告出稿がうまくいっている箇所と、改善すべき課題を客観的に知ることも可能で、無料で利用できるのが特徴です。
オークション分析でできること
オークション分析では、Googleに出稿している広告について競合している他社と掲載結果を比較できます。また、自社の広告パフォーマンスの現状の分析も可能です。他社と比較する以前に、自社の広告内容や出稿方法に問題があって十分なパフォーマンスを出せていないケースも多くあります。オークション分析は、自社の広告パフォーマンスを俯瞰的に確認し、競合他社の動向を見るために役立ちます。
自社の広告パフォーマンスを分析できる
オークション分析ではGoogleに出稿している自社の広告について、確認時点での状況の把握ができます。他社との比較をする前に自社の状況を知っておくことで多くの課題が見つけられるでしょう。例えば、自社広告のページ上部表示率がわずか5%だった場合、広告が表示された回数のうち95%は広告がページの下部に表示されていることを意味します。ほとんどのケースでページ上位に広告が表示されておらず、他社との比較の前に自社の問題を解決すべき状況といえるでしょう。ページが上位に表示されるように改善をおこなったあとに、優位表示シェアやページ最上部表示率などのデータを用いて分析をおこなうことで、他社と比較して優位に表示される体制を整えることができます。
競合他社の動きを知ることができる
オークション分析では、競合する他社の動向を時系列で確認できます。例えば、「競合するA社と自社の広告表示がいつ頃から重複するようになったのか」や「競合するB社のインプレッションシェアが急上昇したタイミングはいつか」などを数値で確認が可能です。出稿している広告のクリック単価が上昇したときにも、他社の動向を確認することによって上昇の理由を分析できます。
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オークション分析の指標について
オークション分析では、表示URLドメインごとに「インプレッションシェア」「重複率」「上位掲載率」「ページ上部表示率」「ページ最上部表示率」「優位表示シェア」の6種類のデータの確認ができます。競合他社と自社の広告の6つの指標を組み合わせて判断することで、改善しなければならない課題が見えてきます。ここでは「表示URLドメイン」と各指標の詳細について説明していきます。
表示URLドメイン
表示URLドメインとは、競合した広告のURLのドメインです。例えば、Googleで「おもちゃX」を検索した際に、検索結果に表示される広告のURLを表します。広告管理画面には、「〇〇〇.com」「〇〇〇.co.jp」などの形で一覧で表示されます。キーワードが「おもちゃX」の場合に競合しているサイトの確認が可能です。
インプレッションシェア
インプレッションシェアとは、広告が表示される可能性があった検索結果のうち、実際に表示された割合のことです。「実際に広告が表示された回数÷広告が表示される可能性があった合計回数」で算出します。例えば、5000回広告が表示される可能性があったのに対し、実際には2000回しか表示されなかった場合、インプレッションシェアは「2000÷5000=0.4(40%)」となります。この数値によってわかるのは、広告が表示される機会を60%失っている、ということです。60%の広告表示の機会を逃さないための対策が必要になります。
重複率
重複率とは、自社と競合する他社との広告が同時にインプレッションを獲得した割合のことです。自社の広告が表示されていたときに、競合する他社の広告が表示されている割合を指します。例えば、競合するA社との重複率が80%だった場合、自社の広告が表示されたすべての回数のうち、80%の割合でA社の広告が同時に表示されていることを意味します。重複率が高い競合相手がいる場合、相手の広告内容を確認しておくことはとても重要です。
自社の広告内容が「1万円キャッシュバック」なのに対し、重複率が80%の競合するA社が広告で「3万円キャッシュバック」をうたっていたら、多くの人はA社にメリットを感じるでしょう。自社とA社の広告は80%の確率で同時に表示されるため、A社に対するアクセスが増える一方で、自社の広告のクリック率やコンバージョン率は低下すると考えられます。
重複率が高い競合他社がいるということは、オークションで他社と競っている回数が多いことを意味します。この場合、クリック単価が高騰する可能性が高いです。クリック単価の見直しや広告内容の切り口を変えるなど、対応が必要になります。一方で、ほとんど重複していない他社の広告は、詳細に分析しなくてもよいでしょう。
上位掲載率
上位掲載率とは、自社の広告と競合している他社の広告が同時に表示されているときに、自社の広告に対して競合他社の広告が上位に表示される割合です。例えば、自社と競合しているA社の上位掲載率が90%であれば、自社とA社の広告が同時に表示される回数のうち90%でA社のほうが上位に掲載されていることになります。一般的に、ユーザーは上位に掲載された広告からクリックする傾向にあるため、競合他社の上位掲載率が高い場合は、自社の広告を上位に表示させるための対策が必要です。キーワードを変更したり、入札調整をおこなったりするなどの対応をしましょう。
一方で上位掲載率はあくまで自社と比べた他社の位置を確認するものです。自社の広告が検索結果のページで上から10番目に表示されており、競合する他社が9番目に表示されているケースもあり得ます。競合他社よりも上位に表示されることは大切ですが、ページ全体での掲載位置ではないので見誤らないようにしましょう。ページ全体での掲載位置は次に紹介する「ページ上部表示率」や「ページ最上部表示率」で確認ができます。上位掲載率は検索広告のみで利用可能です。
ページ上部表示率
ページ上部表示率とは、ユーザーが検索をおこなった際に、検索窓のすぐ下にある広告枠に自社の広告が表示された割合のことです。広告枠には1~4個程度の広告が表示されますが、ページ上部表示率ではこのうち2~4位程度に表示された割合を確認できます。何位に表示されたかは問いません。例えば、広告の表示回数が5000回でページ上部表示率が90%の場合、4500回はページ上部に表示されていることになります。
上位掲載率が、競合している他社と比べた自社の位置を表すのに対し、ページ上部表示率はページ自体の上位に表示されていることを表しているため、この数値が高いことはとても重要です。ページ上部表示率はパソコンやスマートフォンなどデバイスによって異なるため、デバイスごとに確認をおこなう必要があります。ページ上部表示率は検索広告のみで確認ができます。
ページ最上部表示率
ページ最上部表示率とは、広告の掲載位置がページの上部で1位だったときのみの割合を示したものです。広告の内容が、時間をかけて比較検討をおこなうものであれば、細かな表示順位に大きな差は出ないかもしれません。例えば、1ヵ月後の旅行で訪れる飲食店を調べているなら、さまざまな口コミを比較するために複数の広告のクリックが予想されるため、必ずしも最上位の広告である必要はありません。
しかし、「調べてすぐに決めたい」という緊急性の高い内容であれば、最上位に表示されることによって広告のパフォーマンスが大きく変化します。例えば「鍵をなくしてしまったから、鍵開けの業者を早急に見つけたい」ときは、最初に見た最上位の広告で決定することも十分あり得ます。広告の内容によっては自社や競合他社のページ最上部表示率を確認して、自社の割合が下がってきたときには早めに対応するようにしましょう。ページ最上部表示率は検索広告のみで確認ができます。
優位表示シェア
優位表示シェアとは、自社の広告が競合する他社の広告より上位に掲載された割合、もしくは、自社の広告のみが掲載された割合のことです。例えば、競合するA社に対する優位表示シェアが下がっている場合、A社の広告に対して不利な状況にあると判断ができます。A社と異なる切り口を模索したり、キーワードの追加を検討したりするなどの工夫が必要です。検索広告のみで確認ができます。
オークション分析の確認方法
オークション分析は「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」の3つの側面で分析レポートを作成できます。期間やデバイスごとにデータを表示させることも可能です。ここではレポートの具体的な確認方法を紹介します。
①キャンペーン単位での確認
キャンペーン単位でオークション分析の確認をする際は、広告管理画面のメニューから分析したいキャンペーンを選択し、「広告グループ」から「オークション分析」を選択します。競合する表示URLドメインの一覧と6種類のデータが表示され、一見して他社広告と自社広告の比較ができる状態になります。
②広告グループ単位での確認
広告グループ単位でオークション分析の確認をする際は、広告管理画面のメニューから分析したい「広告グループ」を選択し、「キーワード」から「オークション分析」に進みます。広告グループとは、キーワードのテーマに基づく特定の分野のことです。その分野に競合する他社がどの程度出稿しているかを確認できます。
③キーワードでの確認
キーワード単位でオークション分析の確認をする際は、広告管理画面の「キーワード」をクリックし、分析をおこないたいキーワードにチェックを入れます。次に「オークション分析」をクリックすると、キーワード単位での分析結果が表示されます。
④細かい指標の確認方法
期間やデバイスごとにデータを表示させたいときは、広告管理画面右上の「分類して表示」をクリックしましょう。期間は、日別、週別、月別、四半期、年、曜日で、デバイスはパソコン、モバイル、タブレットで分類できます。期間やデバイスを変えることで、特定の傾向がわかることもあるため、1つの分析方法だけでなくさまざまな角度から分析することが大切です。
⑤レポートエディタを活用する
レポートエディタとは、オークション分析の結果を表やグラフで可視化できる機能です。数値の変化や他社との比較は数字で見るだけでは把握しにくいですが、表やグラフにすることで一目見てすぐにわかる状態になります。広告パフォーマンスの変化を把握したり、期間で比較してデータの分析も可能です。レポートエディタは広告管理画面から作成ができます。
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オークション分析の活用方法
オークション分析はより効果的な広告出稿をおこなうために有効に活用できます。キーワード単位での分析やインプレッションシェアの把握をおこなって、自社の広告のインプレッション率やクリック率を上げるための施策を考えましょう。インプレッションが伸び悩んでいるときは入札で競り負けているため、その原因を明確にすることも大切です。分析の結果、広告ランクや入札単価に問題がありそうなときは、広告ランクを上げるための工夫や入札単価の見直しをおこなうとよいでしょう。
①出稿キーワードに対する競合他社の出稿状況を確認する
オークション分析を使うと、特定のキーワードにどれぐらい競合する広告が出稿されているかを確認できます。また、競合他社の広告内容を知りたいときは、広告管理画面上部の「ツールと設定」から「広告プレビューと診断」をクリックし、指定の検索キーワードを入力することで、そのキーワードに対する広告を確認できます。
②人気の高いキーワードをリサーチする
オークション分析はキーワード単位で6つの指標による分析をおこなうことができます。重複率の高い人気キーワードを確認することで、より適切なキーワードがないかを見直すきっかけになるでしょう。人気のキーワードはオークションの競争率が高くなり、上位に表示される可能性が低くなります。あえて人気の高いキーワードを用いるときには、競争率が高くても上位に掲載されるような設定にする必要があります。
③競合他社と比較しインプレッションが負けていないか確認する
Google広告では、広告が表示される割合は「入札単価」「広告の品質」「広告表示オプションやその他の広告フォーマットの効果」によって総合的に判断されます。ユーザーがWEBページを利用して広告が表示されるたびにオークションがおこなわれており、広告を出稿した段階では広告が表示される回数はわかりません。出稿したあとにオークション分析を活用してインプレッションシェアなどのデータを確認すると、インプレッションを上げるために何が必要か、課題と改善策が見えてきます。
例えば、競合するA社にインプレッションで負けていることがわかった場合、考えられる原因には「A社と重複率が高く、A社よりも魅力的なキーワードで訴求できていない」「A社の上位掲載率は80%程度だが、自社は50%程度で低い」「A社に対する優位表示シェアが低い」などがあります。重複率が高い場合は、些細な違いでインプレッションに大きな差をつけられてしまうこともあるため、キーワード設定には慎重を期す必要があるでしょう。他社と重複しない切り口を考えるなど、さまざまな対策を取ることができます。
④入札で負けているのは予算が要因なのか、広告ランクが要因なのか知る
オークションで競合他社に競り負け、インプレッションが伸びない場合は、その原因を明確にする必要があります。原因によって対処法が変わってくるからです。せっかく出稿しても広告が表示されなければ意味がないので、必ず確認するようにしましょう。原因として考えられるのは「入札単価で競り負けている」「広告ランクが低く表示されない」などです。
広告ランクは広告の掲載順位を決定する際に基準となる指標で、「品質スコア×上限クリック単価(入札単価)+広告表示オプション」で算出できます。品質スコアは、ユーザーにとって適切な広告かどうかを評価する指標のこと。有益な情報であり、検索結果との関連性が高いほど高くなります。入札単価は広告主が決めることができますが、品質スコアを上げるのは簡単なことではありません。しかし、クリック率を上げる施策をおこない、LPの品質を改善し、検索結果と広告文の関連性を高めていくことで、品質スコアを高めることが可能になります。広告ランクが低い場合は、入札単価の見直しとともに、このような品質スコアを高める工夫をしましょう。現時点の品質スコアは、Google広告にログインし、「キーワード」から「キーワードの表示項目を変更」に進み、「品質スコア」を展開して確認できます。
品質スコアに問題がない場合は、入札単価で競り負けている可能性があります。広告ランクは「品質スコア×上限クリック単価(入札単価)+広告表示オプション」で算出されるからです。オークション分析を活用してどの分野で競合他社に競り負けているのかを明確にしたうえで、入札単価を上げるなどの対応を検討しましょう。
6.オークション分析を使ってロジカルに判断し競合優位を目指そう!
Google広告のオークション分析は無料で使うことができる、広告出稿に欠かせないツールです。自社の出稿状況と他社と比較した広告パフォーマンスを客観的に把握できます。競合他社に競り勝ち、優位なポジションで広告を表示させるためには、オークション分析で把握したデータを用いてロジカルに判断することが大切です。
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