今回はインターネットの広告戦略に欠かせない「リスティング広告」のシミュレーション作成方法を解説します。
どのような広告でもある程度事前に、広告の効果がどのくらいなのかを事前に把握しておきたいものです。「リスティング広告」はGoogleのキーワードプランナーの使用で、どのくらいの表示回数があり、どのくらいクリックされるのかがわかります。
コンバージョン数や成約率もでますが、こちらはWEBサイトなどにより大きくことなるので参考程度がよいでしょう。それによって、最初にかけなくてはいけない費用とこのプロモーションはどこまで伸ばせるかの最大値が見えることで、事業戦略が練りやすくなります。
この記事を読むことで、自分でもリスティング広告のシミュレーションが作れるようになると思いますのでぜひチャレンジしてみてください。
シミュレーションの前にリスティング広告の費用や予算を決めるならこちらの記事も参考にしてください。
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目次
なぜリスティング広告なのか?
検索エンジンでユーザーが入力したキーワードに関連する広告を、検索結果画面で表示する仕組みとなっているので、今現在悩んでいるニーズが顕在しているユーザーにアプローチができるため、広告効果が出やすい媒体です。
シミュレートの目的とゴール
WEBマーケティング担当者が次にすべきことはシミュレートです。リスティング広告のシミュレート目的は2パターンが考えられます。1つ目は広告予算が決まっているケース。100万円の予算をリスティング広告に充てた場合、どれほどのアクセスやコンバージョン数が見込めるのかを算出します。
もう1つは目標とするコンバージョン数が決まっているケースです。月間で1,000個の商品を売り上げたい目標があったと仮定します。それをリスティング広告で完売させるためには、どれほどのアクセス数が必要になるのか、そのアクセス数を稼ぐにはどれほどの予算を投入すべきなのかを推定します。
「どれくらいの費用をかければどれくらいのアクセスが見込める」、「どれほどの確度でユーザーは成約する」といったシミュレートは、広告戦略において必要な情報です。意思決定の判断材料を得ることがシミュレートの目的です。
では、シミュレートのゴールとは何でしょう。「広告は水もの」と言われます。100万円の予算を投入したからといって、必ず1,000個の商品が売れるとは限りません。
特にリスティング広告のシミュレートで算出した数値は、あくまで推定。シミュレートとまったく同じ数値が計上されることはないでしょう。シミュレートのゴールは、事前に算出した乖離に気付き、次の施策に展開していくことです。
例えばシミュレートで算出したキーワードが、思っていた以上に検索されない場合もあります。
推定値と実数値が大きくかけ離れていた場合、キーワードを変更するという対策が打てます。シミュレート通りに進まないことは、間違いではありません。「そのキーワードより、あとから設定したキーワードのほうがユーザーの反応がよい」という情報を得ることができます。
この情報は、今後の広告戦略において大きな財産になるでしょう。「実践して気付いた情報を財産とし、次の広告戦略に生かしていくこと」。いうなれば、これがシミュレートのゴールではないでしょうか。
必要な数値は?
それではリスティング広告の具体的なシミュレーション作成に入っていきましょう。シミュレーション作成に最低限必要な数値は以下です。
- 表示回数(IMP)
- クリック数(CTS)
- クリック率(CTR)
- クリック単価(CPC)
- コンバージョン数(CV)
- コンバージョン率(CVR)
- コンバージョン単価(CPA)
- 費用(COST)
①IMPはインプレッションです。ユーザーに対して広告が「表示」されることを指します。
下記画像を見てみると、「リスティング」というキーワード検索で4つのサイトが広告として表示されています。1回の表示で1インプレッションが計上されるので、この4つのサイトは1IMPとなります。
②のクリック数はその名のとおり、広告がクリックされた回数です。表示回数が高くてもクリック数が低ければ、そのサイトはあまり閲覧されていないことになります。表示されるタイトルやディスクリプションを工夫して、クリック数を上げていく施策が重要になります。
クリック数(CTS)÷表示回数(IMP)で算出できるのが③CTR(クリック・スルー・レート)。例えば500回表示された内、10回クリックされた場合、そのサイトのCTRは0.02となります。広告表示を見た2%のユーザーがクリックすることを表しています。表示回数を増やすこと、クリック数を増やすことも必要ですが、CTRを向上させるとより効率的な広告運用となります。
クリック1回あたりにかかるコストを④CPC(コスト・パー・クリック)と呼びます。例えば10万円かけて稼いだクリック数が400だった場合、1クリックあたり250円で獲得した計算になります。つまり、CPCは250です。
⑤のCVがコンバージョンです。最終的な成果のことを指しており、リスティング広告ではいかにコンバージョンを獲得するかが鍵となります。コンバージョンの定義はサイトによって違います。商品購入をCVに設定するサイトもあれば、資料請求のユーザーのアクションをCVとするサイトもあります。サイトの目的に合わせてCVを設定しましょう。
⑥のCVRがコンバージョン・レート。顧客転換率のことです。コンバージョン数(CV)÷サイト全体のアクセス数で算出できます。あるランディングページの月間アクセスが30万、そのうち商品購入につながったCVが150件あった場合、CVRは0.0005。パーセンテージにすると0.05%となります。サイトを訪問したユーザーが0.05%の確率で商品を購入することがわかります。
広告戦略において⑦CPA(コスト・パー・アクション)は特に注視すべき数値。新規顧客1人あたりの獲得単価です。こちらは広告費(CPC)÷コンバージョン数(CV)で算出します。100万円の予算で20件のCVを獲得した場合、CPAは50,000円。例えばこの商品が数百万円の自動車だった場合、50,000円の広告費で1台が売れる計算となり、とても有効な広告戦略と言えるのではないでしょうか。逆に単価150円の文房具だったと仮定すると、1つ売るのに50,000円もかけるのは非効率的でしょう。
GoogleとYahoo!JAPANの数値の算出方法
さて、リスティング広告はGoogleとYahoo!JAPANに掲載が可能です。それぞれを比較すると、Yahoo!JAPANのクリック1回あたりにかかるコスト(CPC)はGoogleの2分の1程度のケースが多々あります。
「Googleキーワードプランナー」というシミュレーションツールを用い、まずはGoogleの各数値を算出します。その後、Yahoo!JAPANのCPCをoogleの2分の1で見積もり、シミュレートしていくとよいでしょう。
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シミュレーションの作成方法
では、実際にシミュレーションを作成してみましょう。Googleキーワードプランナーを活用します。またシミュレーションフォーマットは必要項目が入力されていればなんでもよいと思います。エクセルやGoogleスプレッドシートなどの活用をお勧めします。
目標数値からシミュレーションを算出する
まずは、目標数値が決まっているケースから。このシミュレーションで、目標となるコンバージョン数を達成するために、どれほどの予算が必要かを割り出すことができます。
今回はGoogleとYahoo!JAPANともに5件、計10のコンバージョン数を目標とします。また、利用するフォーマットは「コンバージョンの目標が決まっている場合の配信シミュレーション」です。
フォーマットのコンバージョン欄にそれぞれ5と入力したら、次はクリック率、クリック単価、コンバージョン率を調べます。ここでGoogleキーワードプランナーを活用します。
右の「検索のボリュームと予測のデータを確認する」をクリックすると調べたいキーワードを打ち込むボックスが出てきます。ここにリスティング広告で狙うキーワードを入力。今回はわかりやすく「リスティング」と「シミュレーション」の2つを入力してみましょう。
「開始する」をクリックすると、結果がすぐに出てきます。
リスティング広告で扱う数値は左にあるタブの「予測」から見ます。
ここでクリック率が6.0%、クリック単価が160円とわかりました。Googleの欄に記入しましょう。
コンバージョン率はGoogleキーワードプランナーで測ることができません。過去の運用実績から引用する、または0.1%から2%の間で仮定するのが一般的です。今回は計算が分かりやすいようにコンバージョンを1%に設定してシミュレーションします。すると自動で表示回数、クリック数、費用、コンバージョン単価が算出されます。
Yahoo!JAPANの欄はクリック1回あたりにかかるコスト(CPC)に注意してください。先述のとおり、Yahoo!JAPANはCPCがGoogleの2分の1程度なので、CPCのみ80円に設定します。
このように、Googleに80,000円、Yahoo!JAPANに40,000円を充てた計120,000円のコストでコンバージョン10件が獲得できるシミュレーションが完成しました。
しかし、これで終わりではありません。Yahoo!JAPANはIMPの数値もGoogleの半分程度と想定されています。つまり、表示回数が同数なのは非現実的です。数値を現実的なものにするために、コンバージョンの割合を変更します。Googleのコンバージョンを6、Yahoo!JAPANのコンバージョンを4としましょう。
Googleが10,000IMPに対してYahoo!JAPANが6,667IMPとなりました。この数値であれば現実的なラインかと思います。コンバージョンの値を変えたことにより、コンバージョン単価が変動。それにともない広告費用も変わっています。
ということで、合計CV10を達成するためにはGoogleでCV6、Yahoo!JAPANでCV4を獲得し、想定される広告費用の総額が128,000円と算出されました。
予算からシミュレーションを算出する
続いて広告予算が確定しているシチュエーションで算出してみます。この場合は「予算が決まっている場合の配信シミュレーション」のフォーマットを利用しましょう。
まず入力するのは広告費用です。仮に合計40万円とし、GoogleとYahoo!JAPANを均等に分けてみます。それぞれの広告費用欄に200,000と入力します。
次にGoogleキーワードプランナーで費用を合わせます。今回設定した200,000円にするため、1日の平均予算を動かしましょう。
1日の平均予算6,400円で月の予算が200,000円となりました。
では、先ほどと同様に、Googleキーワードプランナーで予測されたクリック率とクリック単価を入力します。コンバージョン率も同じく1%と仮定します。また、Yahoo!JAPANは260円の2分の1、130円で計算しましょう。
こちらは広告費用、クリック率、クリック単価、コンバージョン率を入力すればその他の数値が自動で算出されます。ここまでのシミュレーションで、GoogleでCV8、Yahoo!JAPANでCV15、合計CV23件を獲得できる計算です。
ここからは、先ほどと同様にIMP数が現実的かどうかを確認する必要があります。同額の費用でYahoo!JAPANのIMPがGoogleの2倍程度となっており、やはり非現実的。予算からシミュレーションを算出する場合は、広告費用の割合を変更します。
Googleに320,000円、Yahoo!JAPANに残り80,000円をかけると想定すると、Googleが25,118IMP、Yahoo!JAPANが12,559IMPとなりました。この辺りが落とし所でしょう。
結果、合計400,000円の広告予算であれば合計18のCV獲得が見込めるシミュレーションができました。
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まとめ
リスティング広告シミュレーションフォーマットとGoogleキーワードプランナーを使って目標数値が決まっているケースと予算が決まっているケースの2つをシミュレーションしてみました。
これまでのとおり、シミュレーションというのは不確定要素や仮定が多く、あくまで推測です。推測の精度を高めるには運用実績や他サイトの情報を知ることが一番でしょう。
やはりシミュレーションと実数値では乖離が生まれます。シミュレーションと実運用を繰り返し、自社にしかないデータを蓄積していくことこそ、精度の高いリスティング広告運用につながります。
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