Google広告を効果的に活用する方法のひとつにカスタマーマッチがあります。カスタマーマッチとは、自社のデータとGoogleのもつデータを照合し、それに基づいて広告を配信するサービスです。
今回は、カスタマーマッチにはどのようなメリットがあるのか、どのようなことに気を付けるべきか、利用手順などについて詳しく解説します。
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目次
Google広告のカスタマーマッチとは?
Google広告のカスタマーマッチとは、自社が所有している顧客の電話番号やメールアドレスなどの情報を活用し、インターネット上での広告配信をおこなうサービスです。カスタマーマッチを利用することで既存顧客への再アプローチを効果的におこなえるようになるほか、既存顧客の類似ユーザーに広告を配信したり、既存顧客を広告の配信対象から外したりできます。
カスタマーマッチの仕組み
カスタマーマッチは顧客データをアップロードすることにより、自社の所有している顧客データとGoogleを利用しているアカウントを自動的に照合します。照合することでさまざまなデバイスやチャネルで新しいオーディエンスリストをターゲットに設定したり、ターゲットから除外したりできるわけです。さらに、類似ユーザーリストが自動的に生成されるので、そのリストを利用して新規顧客にアプローチできます。
カスタマーマッチを利用可能な配信面とは?
Google広告と一言でいっても多種多様です。さまざまなデバイスや状況でGoogle広告が表示されているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。カスタマーマッチを利用すると、そのうちの5つの配信面が利用できます。どのような場面で広告が表示されるのか、それぞれ詳しく解説しましょう。
1.Google検索広告・Googleショッピング広告
まずはGoogle検索広告とGoogleショッピング広告です。Google検索広告はGoogleのトップページで検索をおこなった際、その結果画面に表示されます。リスティング広告と呼ばれることもあります。ユーザーが検索したワードに合わせて表示されるので、コンバージョンの効率を上げやすい広告です。また、Googleショッピング広告はGoogleショッピングの画面に表示されます。カスタマーマッチではユーザーの行動に基づいて入札単価を調整することも可能です。
2.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告はWEBサイトやアプリ、Youtubeの広告枠に配信されるテキスト形式やバナー形式の広告です。GDNと呼ばれることもあります。検索広告との違いは、その掲載場所です。検索広告が検索結果の上部や下部に掲載されるのに対し、ディスプレイ広告はあらかじめ設定されている広告枠に掲載されます。また、広告が表示されるタイミングも異なります。検索広告はユーザーが検索をおこなった際に表示されますが、ディスプレイ広告はより受動的なタイミングで表示されるからです。広告を作成する際にはこの特性をしっかり把握しておく必要があります。
※関連記事: ディスプレイ広告とは?初心者にも簡単解説
3.Gmail広告
Gmailの無料ユーザーはメールボックスのソーシャルやプロモーションといった部分に広告が表示されます。この広告がGmail広告です。メールの受信画面というパーソナルな場所に表示されるため、個人的な悩みや関心のあることに訴求するような商品やサービスでより効果的だといわれています。注意するべきポイントは、先述したようにGmail広告はメールボックス画面の指定の場所に表示される広告です。メルマガ広告のようなものとはまったく別物であることをよく理解しておきましょう。
4.Youtube広告
顧客リストにあるユーザーがYoutubeを閲覧した際、その最初や最後、閲覧途中で表示される動画広告です。Youtube広告にはいくつかの種類がありますが、多いのは5秒でスキップできるインストリーム広告です。スキップできるインストリーム広告は5秒でスキップされた場合には料金が発生しないため、広告主にとってコスパのよい広告だといえます。また、動画を視聴しているユーザーにとっても、興味がない場合はスキップできるのでストレスが少ない広告だといえるでしょう。Youtube広告にはほかにもスキップできないインストリーム広告や6秒以内の動画を使用したバンパー広告、インフィード動画広告などがあります。
※関連記事:YouTube広告とは、費用や手順など詳細まとめ
Google広告のカスタマーマッチのメリット
Google広告カスタマーマッチを利用することのメリットは、既存顧客や休眠顧客へアプローチできること、既存顧客を配信除外設定できること、既存顧客に近いユーザへ拡張配信できることの3点です。それぞれ具体的にどのようなことなのか、詳しく解説します。
1.既存顧客・休眠顧客へアプローチできる
まず挙げられるのは、通常のGoogle広告よりも効率的に既存顧客や休眠顧客へアプローチできることです。なぜなら、カスタマーマッチでは先述したように5つの配信面で広告が表示されるからです。複数の機会で広告を目にすることにより、既存顧客や休眠顧客の自社の認知度や親近感を高めることが期待できます。新規顧客の獲得も大切ですが、場合によっては既存顧客へのアプローチや休眠顧客の掘り起こしがより重要になるケースも多いです。また、新しい情報が日々膨大に発信される現代では、既存顧客へも適度にアプローチし続けることが顧客をつなぎ止めるための大きなポイントとなるでしょう。
2.既存顧客を配信除外設定できる
カスタマーマッチでは、リストをアップロードすることで特定の既存顧客を配信対象から除外できます。この機能が有効となるのは、会員登録や資料請求の勧誘を目的とした広告を配信する場合です。会員登録や資料請求が広告の目的であるならば、すでに会員登録をしてくれた顧客や資料請求をしてくれた顧客に対しては広告を配信する必要がありません。広告の費用対効果を考え、そうしたケースでは既存顧客への配信を除外する必要があります。
3.既存顧客に近いユーザへ拡張配信できる
カスタマーマッチを利用する大きなメリットのひとつは、Google側で自動的に類似ユーザーのリストを生成してくれることです。当然のことながら、Googleは自社の顧客リストよりもはるかに多くのGoogleアカウント情報を所有しています。カスタマーマッチではアップロードした自社の顧客リストをもとに、Googleが所有しているアカウント情報から類似顧客リストを作成してくれます。そのため、新規顧客の獲得も期待できます。
Google広告のカスタマーマッチの注意点
メリットの多いGoogle広告のカスタマーマッチですが、利用する際には利用条件、マッチングデータ、個人情報の取り扱いについて気を付けておかなければなりません。どのような点に注意するべきか、それぞれ詳しく解説します。
1.利用条件がある
カスタマーマッチは誰でも利用できるわけではない、ということをしっかり把握しておきましょう。Google広告ではアカウントが満たしている条件によって使える機能が異なります。カスタマーマッチを利用するために満たすべき条件は4つです。まずは、これまでGoogle広告のポリシーを遵守してきた実績があることです。一度でもポリシー違反を犯していた場合、カスタマーマッチは利用できません。もちろん、新規に利用するのであればこの項目にはあたりませんが、Google広告の利用実績が90日以上でなければならないという条件もあります。そのため、まずは90日以上ポリシーを遵守してGoogle広告を利用しましょう。
また、金額に関しても2つの条件があります。ひとつは、広告の支払いに関して問題が発生していないことです。広告の支払いでトラブルがあったことがある場合、カスタマーマッチの利用はできません。最後に、Google広告の利用金額が全期間で5万ドル以上であることが前提になります。日本円ではなくアメリカドルでの計算となるので注意しましょう。
2.利用には最低1,000件以上のマッチングデータが必要
次に、カスタマーマッチを利用する場合には最低でも1,000件以上のマッチングデータが必要になるということも覚えておきましょう。アップロードできる顧客情報が1,000件未満しかない場合、カスタマーマッチを利用できません。また、重要なポイントは、仮に1,000件のデータをアップロードしたとしても、そのデータがすべてGoogleが所有する1,000件のアカウントとマッチするわけではないということです。マッチするデータもあればマッチしないデータもあることを理解しておきましょう。
3.個人情報の取り扱いについて配慮する
アップロードするデータは顧客の個人情報である以上、その取り扱いについて配慮することも大切になってきます。Googleカスタマーマッチでは、アップロードできるのは自社で収集した顧客データのみと規定されています。基本的には第三者が収集したデータを転用できません。ただし、その第三者がGoogleのポリシーを遵守していることを書面で保証している場合はその限りではありません。広告配信を代理店に依頼する場合には、これら顧客データの取り扱いについてしっかり協議しておく必要があります。
Google広告のカスタマーマッチの利用方法
それでは、Google広告のカスタマーマッチを具体的にどう利用していけばよいのか、あらかじめ知っておくべき顧客データのハッシュ化と利用手順について詳しく解説します。
1.顧客データのハッシュ化について
まずは顧客データのハッシュ化についてしっかり把握しておくことが大切です。カスタマーマッチでは、データの安全性を守るためにSHA256アルゴリズムを利用してデータをハッシュ化します。SHA256とは、任意の長さの原文から256ビットの関数を生成するハッシュ関数です。計算速度や暗号学的な安全性のバランスの良さから最も広く普及しているハッシュ関数のひとつだとされています。
ハッシュ化されるのは、顧客データのなかでもメールアドレスや電話番号、姓、名といった機密性の高いデータに限られます。国や郵便番号のデータはハッシュ化されません。そのため、自身で顧客データをハッシュ化してアップロードする場合には、国と郵便番号のデータはハッシュ化せずにアップロードする必要があります。ハッシュ化を自身でおこなわない場合には、アップロードの際にGoogle広告によって自動的におこなわれることを選択しましょう。
2.カスタマ―マッチの利用手順
それでは、カスタマーマッチの利用手順について順番に解説していきます。まずはGoogleアカウントを開き、ツールにあるオーディエンスマネージャーをクリックしましょう。
オーディエンスマネージャーの管理画面になったら、左上にあるオーディエンスリストから顧客リストをクリックします。するとデータのアップロード画面が表示されます。
データをアップロードする際、最初にオーディエンス名を記入しましょう。次に「アップロードする顧客データの種類を選択」という項目から「メールアドレス・電話番号・住所をアップロード」を選択します。データファイルがまだできていない場合には、テンプレートをダウンロードしてリストを作成しましょう。あらかじめエクセルなどでファイルを作成しておくこともできます。ただし、その場合には顧客データファイルの列見出しに指定された英語の名前を正確に使用していなければなりません。また、アップロードするファイルはCSV形式でなければならないことも覚えておきましょう。データをアップロードしたら、顧客データがGoogleアカウントと照合されます。この照合には24時間以上かかる場合もあるので注意が必要です。
照合ができたら、顧客リストをGoogle広告のキャンペーンと関連付けます。例えば、カスタマーマッチを利用してターゲットに広告を配信したいのであれば、まずは配信したいキャンペーンを選択して管理画面左側にあるオーディエンス、続いて鉛筆のマークをクリックします。そうしてターゲティングにチェックを入れたら閲覧をクリックし、作成したリストにチェックを入れて保存します。既存顧客を除外して広告を配信したい場合は、先述したオーディエンスから除外設定を開き、+マークをクリックします。そうしてオーディエンスの除外ページで作成したリストをチェックし、保存します。
Google広告のカスタマーマッチの利用ポイント
Google広告のカスタマーマッチを上手に活用するためには、リストを定期的に更新すること、リストのマッチ率をチェックすること、顧客リストをターゲットごとに分けることが大切です。それぞれなぜ大切なのか、その理由を解説します。
1.リストを定期的に更新する
リストは定期的に更新する必要があります。Googleによれば、定期的にカスタマーマッチのリストを更新することでトラフィックとコンバージョンが平均17%も増加するとのことです。そのため、顧客リストは一度アップロードしたらそのままにするのではなく、定期的に更新するようにしましょう。更新のタイミングは自身であらかじめ決めておいてもよいですし、Googleが提供してくれる最適化案でリスト更新の必要性があるかないかをチェックするのもよいでしょう。
顧客リストの更新方法はいくつかあります。まず、既存の顧客リストを新しい顧客リストに置き換える場合には、オーディエンスマネージャーの管理画面から左側のページメニューにあるオーディエンスリストを選択しましょう。次に、カスタマーマッチのセグメントを選択します。顧客リスト欄にある三つの点が縦に並んだその他アイコンをクリックし「編集」を選択します。「既存のリストのユーザーを新しいリストに置き換える」という項目があるのでそこをクリックし、データをアップロードしましょう。既存のリストにデータを追加する場合には、「編集」のあとに「さらにユーザーを追加」を選択します。そうして新しい顧客データをアップロードしましょう。
既存の顧客リストを削除したい場合は、オーディエンスマネージャー画面の左側にあるメニュー欄から「分類して表示」をクリックします。表示されたオーディエンス表の中から、削除したい顧客リストをクリックしましょう。顧客リスト欄にある三つの点が縦に並んだその他アイコンをクリックし「編集」を選択します。「リストを削除」という項目をクリックして削除できます。
2.リストのマッチ率をチェックする
Google広告のカスタマーマッチを上手に活用するには、リストのマッチ率をチェックすることも大切です。マッチ率とは、アップロードしたデータのうちどの程度のデータがGoogleアカウントと結びついているかの割合を指します。先述したように、アップロードしたデータのすべてが必ずどれかのGoogleアカウントと結びつくわけではありません。例えば、1,000件のデータをアップロードして結びついているものが200件であれば、マッチ率は20%となります。その場合、200件のデータに広告の配信が可能です。そのため、マッチ率が高くなればなるほど広告の費用対効果が高くなります。
マッチ率はアップロード完了ページやオーディエンスマネージャーの画面で確認できます。また、過去にアップロードしたリストのマッチ率も確認できます。オーディエンスマネージャーの管理画面からマッチ率を確認したいオーディエンスリストをクリックしましょう。
3.リストのマッチ率を改善する
マッチ率を改善させる方法のひとつは顧客情報の量を増やすことです。Googleによると、2種類の顧客情報をアップした広告主は平均リストサイズが28%、3種類アップロードした広告主は35%増加したとのことです。もしもマッチ率が低い場合には、より多くの顧客情報のアップロードを検討するのがよいでしょう。
また、データファイルのフォーマットやハッシュ処理を見直す必要があるかもしれません。フォーマットやハッシュ処理に問題があった場合、正しくアップロードされないからです。正しくアップロードされていなければ、当然マッチングもされません。顧客情報が豊富であるにも関わらずマッチ率が低いのであれば、フォーマットやハッシュ処理で何か問題が起きていないかどうかを確認しましょう。
4.顧客リストをターゲットごとに分ける
Googleのような広告配信企業が取得しているデータは主にIPアドレスと性別や年齢といった属性、ユーザーの興味や関心です。これらの情報を参考に、Googleは自社がアップロードしたデータをマッチングするわけです。そのため、データをアップロードする広告主側もこれらのデータに基づいて顧客を分類し、リスト化しておく必要があります。そうすることでGoogleのマッチング機能をより効果的に活用できるわけです。また、Google広告の特徴のひとつは、キャンペーンや広告グループごとに年齢や性別でのターゲティングがおこなえることです。そのため、複数のターゲティングを組み合わせれば、より効果的にユーザーの絞り込みをおこなえます。
顧客リストの分類をおこなうことをセグメンテーションと呼びます。セグメンテーションをおこなう際、注目するべきポイントは「人」と「枠」です。「人」は性別や年齢、興味関心などがその主なものとして挙げられます。「枠」は特定のトピックや特定の場所、特定のコンテンツやキーワードなどです。また、アプローチの優先順位別に顧客を分類する方法もあります。これらのポイントに注意して顧客リストを分類してみましょう。
注意するべきポイントは、顧客リストの分類をおこなったら必ずその成果を検証することです。リストの分類をおこなう前とあととでクリック数やコンバージョン率が改善されていれば、その分類は効果的だったといえるでしょう。しかし、なにも効果がなかった場合や悪化してしまった場合は、分類に失敗してしまっている可能性があります。
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