WEBマーケティングで○○が33%減少したら、もとにもどすには何%改善する必要があるのか?

香取
「33%の減少」を取り返すには?

WEBマーケティングにいそしんでいるみなさまこんにちは!
日夜「コンバージョン」、「リード」獲得に対して尽力していることと思います。

WEBマーケティングをおこなっていると、時折こんな会話があります。

「こっちの広告のほうがCVR(コンバージョン率)がよいから、他は停止しませんか?」

この文脈を補足すると、

  • 悪いものを停止すれば、よいものだけが残る
  • よいものだけが残れば、全体のパフォーマンス(平均値)はよくなる

とてもシンプルな考え方で、これが最適解といえるケースはとても多いと思います。

でも、このときに「もしも」のことは考えられているでしょうか?
言い換えると、「ギャンブル感覚」で「不合理な判断」をくだしていないでしょうか?

なかには、ギャンブルのように積極的なビジネスを行う人もいるとは思いますが、一般的な企業様のWEBマーケティング(とくに運用型広告など)においては安定した結果が求められます。

タイトルの通り、「○○が33%減少したら、もとにもどすには何%改善する必要があるのか?」を即答できる人はもちろんいると思いますが、この計算はできるのに不合理な判断をする人が多いなと感じる場面は多々あります。

こと、安定性のあるWEB広告の運用を目指したい人にぜひ読んでもらえればと思います。

「よい広告を残すのがベスト」という模範解答

効果の悪い広告を停止して、よいものを残すというのはすごくシンプルな考え方です。
この考え方に反論する人は少ないと思います。模範解答でありベストアンサーにも思えます。

たとえば、Google広告やYahoo!広告、Meta広告(Facebook広告)などで、訴求の異なる2つ以上の広告があれば必ず効果がよい広告と悪い広告が生まれてきます。

例)2つの異なる結果の広告のイメージ

例)2つの異なる結果の広告のイメージ CV(コンバージョン)の数を重視した場合、この画像でいえば「A」のほうがCVは多く、CVRも高いことから総合的に優れていると考えることができます。

そして、2つある広告を「A」だけにすれば、CPA(コンバージョン単価)は10,000に近づき、CVの数も増えることが期待されます。

例)効果のよい広告Aだけを残し、CVが増えたイメージ

例)効果のよい広告Aだけを残し、CVが増えたイメージ

広告Aだけにしたのち、同じ広告費を使えたと仮定するとこのような結果が見えてきます。
効果の悪かった広告Bに使っていた広告費を、広告Aに集中させることでCVが増える見込みとなります。結果的に合計でのCVは増加したうえで、CPAも11,650→10,000となりました。
この想定通りにうまくいけば、何もいうことはありません。

これが、効果の悪い広告を停止して、よいものを残すという考え方の根幹にあります。

模範解答はベストアンサーとは限らない

広告の効果を見て、優れている広告を残すという模範解答で考えた場合、上の例では「Aを残す」という判断がくだされます。「テストの結果から、次のアクションを実行した(Bを停止した)」という模範的な行動になります。

ただしこのとき、無意識のうちに「ギャンブル」をしているということも忘れてはいけません。
代表的なギャンブルを2つ挙げてみます。

「CVの総数が減る」というギャンブル

Aだけを残したとき、Bが獲得していたCVはなくなるという事実があります。

上の例ですと、広告Bは33件のCVを獲得していましたので、総数100件に対して33%ものCVを失うことになります。

広告Bは、広告Aに比べれば見劣りするものの、「広告Bだからこそ獲得できたCV」もあります。Aという効果がよい広告があるからといって、Bの広告は止めてしまおうと判断するまえに、上記のように「Bを停止したら、Bで発生していたCVは失う」ということはしっかりと認識しておく必要があります。

例)「CVの総数」が減ってしまったイメージ

例)「CVの総数」が減ってしまったイメージ

「合計でのCPA」に注目をすれば、11,650→10,000となったので合計のCPAは改善したといえますが、「CVの総数」に注目をすると、100→67へと減少しています。これでは手放しで喜べない結果といえます。

上記の例では、33%ものCVを失ったことになります。とてもおおきな機会損失と言えます。

「WEB集客を、たったひとつの広告にすべてゆだねる」というギャンブル

Aだけを残したとき、Aがその効果を維持するとは限らないという事実もあります。

Bを停止して、33%のCVを失い、そのうえ頼りにしていた広告Aの効果が悪くなれば目も当てられません。

例)1番効果のよかった広告の効果が落ちてしまったイメージ

例)1番効果のよかった広告の効果が落ちてしまったイメージ

効果がよかった広告Aだけを残し、最良の結果を求めたのにも関わらず、最悪の結果となってしまいました。
一番避けたい状況ですが、WEB広告では比較的よくあることです。

「期待した広告だけにするということは、すべての運命をそれにゆだねる」という大きなギャンブルになるということを認識しておく必要があります。

「33%の損失」を取り返すのに必要な改善率は?

上記のように、広告を停止すればその広告から発生していたCVは必ず失われてしまいます。ところが、これを認識していない人は意外と多いようです。(あくまで個人的な感覚値です)

なぜこの認識がない人が多いのかを考えたときに、ひとつの傾向がありました。

「失った数を取り返すのにどれくらい改善が必要なのか?」ということを考えていないことに気が付きました。

上の例で、広告Bを止めたとして失った「33%のCV」。
もしそれを、広告Aで取り返すとしたらどの程度の改善率が必要なのかを考えてみましょう。

  1. 100のうち、33を失った数値
    100 – 33 = 67
  2. 67を、100にするために必要な改善率
    100 ÷ 67 = 1.49

67を100にするには、約1.5倍。およそ、50%の改善が求められます。
すでに優秀な結果のAを、さらに50%も改善することは現実的でしょうか?

テキスト広告であれば、よほど優秀なコピーライティングが求めらるでしょう。
バナーや動画などの広告であれば、誰もが目を奪われるクリエイティブ制作が求められるでしょう。

どちらにしても、とてもハードルの高い改善率が求められることになります。

このように、2つのうちどちらかを停止するというときには、「広告Bを停止したらどのくらい機会損失が生まれるのか?その損失を補填するにはどれだけの改善率が必要なのか?」という事実も考えておいたほうがよいでしょう。

33%減少したときに、「33%を取り返すには33%改善すればいいんだよね?」と考えている人は多いと思います。実は、33%を取り返すには、50%の改善が必要になるのです。

「広告運用」「ABテスト」で不合理な選択をしないために

まとめになります。

WEB広告の運用において、「安定的な結果を出し続けること」はとても重要です。

いわゆる『ABテスト』をして、効率化をするために選択と集中をしたことでよい結果をもたらすことは往々にしてありますので、すべて否定するつもりはありません。

それでも、選択と集中をするということは、無意識のうちにギャンブル性が高い選択をして、不合理な選択をしている可能性もあるのも事実です。

この事実は、安定的な広告運用を求めるうえでは、忘れないようにしたいですね。

それでは!

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香取

子どものころに読んだ「トーマス・エジソンの伝記」。幼少のエジソンが「1+1はなぜ2なの?大きな1だよ…!」と、2つの泥だんごを1つにしながら先生に問いかけたシーンに衝撃をうけました。1+1はいつも2ではない。あたりまえっぽいことに疑問を持てるようにこころがけています。

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