ABテストとは?やり方や注意点も紹介

編集部

ABテストとは、WEBサイトやWEB広告、アプリなどを改善する手法です。ABテストを効果的に実施するためには、正しいやり方を理解する必要があります。

誤ったやり方では成果が出ないだけでなく、余計な手間やコストがかかるケースもあるため注意が必要です。

本記事ではABテストの概要やメリット、ABテストのやり方、ABテストをおこなう際の注意点を解説します。

WEB広告を運用している方や、WEBサイトを改善したい方、より使いやすいアプリを開発したい方はぜひ参考にしてください。

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ABテストとは

ABテストとは

ABテストは、AパターンとBパターンの2種類を用意し、成果を比較するテスト手法です。
成果の高かったほうを残してさらにABテストを繰り返すと、よりよいパターンが得られます。

ABテストは成果を比較する方法によって、逐次テストと並行テストの2種類に分けられます。
逐次テストでは、Aパターンで一定期間の成果を確認したあと、Bパターンに切り替えて効果検証がおこなわれます。

パターンを切り替えるまでの期間は数日間や数週間など、テストの内容によってさまざまです。

逐次テストは簡単に取り組めるメリットがある一方、季節的な影響を受けやすい点がデメリットです。
並行テストはスプリットランとも呼ばれ、AパターンとBパターンの効果検証が同時におこなわれます。

ABテスト向けのツールを使うと、WEBサイトの訪問者やアプリのユーザーが自動的に振り分けられます。
並行テストは季節的な影響を受けにくいメリットがある一方、サンプル数が少ないと結果が出るまでに長い時間がかかる点がデメリットです。

ABテストのメリット

ABテストのメリットとして、低コストで実施できる点が挙げられます。
ABテストで用意する2つのパターンは一部の要素のみを変更するため、全体をリニューアルする場合と比べて工数や費用を抑えて実施できます。

また、やり直しがきくためリスクも低いです。並行テストに限りますが、外的要因の影響を少なくできる点も、ABテストのメリットです。

AパターンとBパターンを同時に走らせると、時期の違いによる影響をほとんど受けません。そのため、変更した要素による成果の違いを確認しやすいです。

テストする対象

ABテストとは

一般的に、数値として成果が確認できる指標は、ABテストが実施できます。

例えば、WEB広告がどれくらいの割合でクリックされたかを示す「クリック率」や、WEBサイトで資料請求や商品購入などの成果が発生した割合を示す「コンバージョン率」は、ABテストによる改善が可能です。
WEBサイトやWEB広告のほか、アプリで計測できる指標もABテストの対象です。

以下では、ABテストの対象について事例を交えて解説します。

WEBサイト

WEBサイトでABテストの対象となる主な項目は次のとおりです。

  • ファーストページビューのコピーや画像

スクロールしない状態で表示される部分はファーストページビューと呼ばれます。ファーストページビューの内容は、ページの直帰率や精読率に影響を与えるため重要です。

ファーストページビューのコピーや画像を変更してABテストをおこなうと、より多くのユーザーに本文や下層ページを見てもらえるようになります。

  • 見出しのコピーや順序

見出しのわかりやすさや伝える内容の順序は、WEBサイトの成果に影響を与える要素です。見出しのコピーや順序を変えてABテストをおこなうと、よりよいページを作れます。

  • リンクのテキストやボタンのデザイン

リンクのテキストの内容や、ボタンのデザインもABテストの対象です。リンクのABテストをおこなうとクリック率を高められます。

  • 入力フォームの項目

ECサイトやお問合せページ、資料請求ページなどに設置する入力フォームも、ABテストによる改善が可能です。
入力フォームに含める項目の内容や個数を変えてABテストをすると、コンバージョン率を改善できる場合があります。

WEB広告(LP・バナー・広告文)

WEB広告でABテストの対象となる主な項目は次のとおりです。

  • LP(ランディングページ)

WEB広告をクリックしたときに表示されるリンク先のページは、LP(ランディングページ)と呼ばれます。
ABテストでLPを改善すると、コンバージョン率の向上が期待できます。

  • バナー

バナーを表示できるタイプのWEB広告では、バナーに含める画像やイラスト、テキストなどがABテストの対象となります。
また、バナーの配色や各要素のレイアウトもABテストの対象です。バナーのABテストによって、WEB広告のクリック率を高められます。

  • 広告文

広告文に含めるキーワードや訴求する内容もABテストが可能です。
例えば、広告文で訴求したいポイントが2つ以上ある場合、どちらのポイントを含めるかでクリック率が変わるケースがあります。

ABテストは、広告文の内容を改善したい場合にも効果的です。

アプリ

アプリでは次のような項目がABテストの対象となります。

  • アプリ内のデザインやコピーの変更

アプリ内に表示されるボタンのデザインや配置、コピーなどはABテストで改善が可能です。
ボタンのクリック率などの指標をもとにABテストをおこなうと、より使いやすいアプリが開発できます。

  • アプリのストアページ

アプリのストアページに使用する画像や説明文も、ABテストの対象です。ABテストでストアページの内容を改善すると、アプリのダウンロード率を高められます。

ABテストの種類

ABテストの種類

ABテストの種類は、単に2パターンを作って比較する手法だけではありません。

3パターン以上を組み合わせたり、複数のページを対象にしたりする手法も、ABテストとして扱われるケースがあります。

ABテストの一種とされる主な手法は次の3つです。

  • 多変量テスト
  • 複数ページテスト(ファネルテスト)
  • リダイレクトテスト

以下では、上記の手法と通常のABテストの違いを解説します。
各手法の特徴を押さえて、目的に応じたテスト方法を選ぶ際の参考にしてください。

通常のABテスト

すでに解説したとおり、通常のABテストでは一部の要素が異なる2パターンの施策を比較検討するのが一般的です。
コピーやデザインなどを変更し、より高い成果が出たパターンを残します。

多変量テスト

多変量テストとは、3パターン以上を比較するテスト手法です。
1つの要素に対して2つのパターンを作る通常のABテストと異なり、多変量テストでは複数の要素を組み合わせて数多くのパターンを比較します。

複数ページテスト(ファネルテスト)

複数ページテストとは、リンクで遷移できる複数のページを対象としたテスト手法です。
例えば、トップページから商品詳細ページ、購入完了ページまでの流れなどが複数ページテストの対象となります。

リダイレクトテスト

リダイレクトテストとは、内容が大きく異なる2つのWEBページを比較するテスト手法です。
リダイレクトテストでは各パターンでURLが異なるWEBページを用意するため、デザインやコピーを大幅に変更して成果を比較できます。

ABテストのやり方

ABテストのやり方

ABテストを実施する際は、単に2つのパターンを作成するだけでなく、目的に応じた仮説の設定や効果検証も重要です。

正しいやり方に沿ってABテストに取り組むと、成果につなががらない無駄な作業を省き、クリック率やコンバージョン率などを効率よく高められます。

ABテストのおおまかな流れは次のとおりです。

  • ABテストをする目的の明確化
  • 改善箇所、改善内容の決定
  • ABテストの実施
  • 結果の検証と改善

以下では、ABテストのやり方を解説します。

テストの目的を決める

ABテストを始める際は、目的の明確化が重要です。
目的が曖昧な状態でABテストを始めると、ABテストをおこなうこと自体が目的となってしまい、成果につながらない場合があります。

WEB広告の費用対効果を高めるために、LPのABテストでコンバージョン率を改善するなど、具体的な目的を定めましょう。

また、目的に対して数値目標を決めるとABテストの成否を評価しやすくなります。

仮説をもとに改善箇所、改善内容を決める

次に、目的を達成するためにどのような施策が有効かを考え、仮説を立てます。

WEB広告のバナーとLPのキャッチコピーが合っていないのではないか、リンクボタンが目立たずクリックされていないのではないかなどの仮説を立てましょう。

仮説を立てたあとは、ABテストで改善する箇所や改善内容を決めます。
ABテストの改善内容は、より目立ちやすい箇所から優先的に決めると効果的です。

例えば、WEBサイトの場合はアクセスが多いページのファーストページビューやリンクボタンを改善すると大きな効果が見込めます。

WEB広告では、見出しのコピーやバナーのデザインが主な改善箇所です。

テストを実施する

改善内容が決まったら、ABテストに使用するパターンを制作し、テストを実施しましょう。
テストを実施する際は、ABテスト向けのツールを活用すると工数が削減できます。

ABテストは正確に実施することが大切です。用意するパターンの内容や使用するURL、ツールの設定などに誤りがあると、手間やコストが発生します。

特に、ABテストの内容を立案するマーケティング担当者と、実際に各パターンを作る制作者が異なる場合は連携に注意が必要です。

結果を検証、改善する

ABテストの実施後は、結果を検証しましょう。最初に立てた仮説が必ずしも正しいとは限りません。

各パターン間で優位な差が見られない場合や、かえって成果が悪くなってしまった場合は、仮説から見直す必要があります。

立てた仮説が正しく、よりよいパターンが見つかればABテストは成功です。
別の改善箇所を見つけたり、新たな目的を立てたりして引き続き成果を高めましょう。

ABテストをおこなう際の注意点

ABテストをおこなう際の注意点

ABテストをおこなう際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。
特に、テストを実施するタイミングや判断基準をあらかじめ考えておくことが重要です。

また、一箇所ずつテストを進め、テスト中の項目以外には極力変更を加えないことも注意点として挙げられます。

マーケティング担当者やWEBデザイナー、コーディング担当者など複数のメンバーでABテストを進める場合は、注意点の共有も大切です。
以下で解説する注意点を理解したうえでABテストをおこないましょう。

実施するタイミングに注意する

扱う商品やサービスの種類によっては、閑散期にABテストのサンプル数が十分に集まらないケースがあります。

サンプル数が少ないとABテストの結果が出るまでに時間がかかるため、十分なアクセスが見込めるタイミングでABテストを実施しましょう。

判断基準・終了タイミングを決めておく

ABテストを開始する前に、結果を判断する基準を決めておくことも重要です。

「コンバージョン率に1.2倍以上の差が出たら、よいほうのパターンを採用する」など、判断基準を決めておきましょう。

ただし、判断基準を満たさないからといって、いつまでもテストを続けていても目的を達成できません。
テスト期間の長期化を避けるため、あらかじめ終了タイミングを決めておくことも大切です。

一箇所ずつテストする

同時に複数の箇所をテストしてしまうと、いずれの要素が成果につながっているかを判断できません。

そのため、まずはキャッチコピーのABテスト、その次にボタンデザインのABテストなど、一箇所ずつテストをおこないましょう。

テスト中は極力変更を加えない

テスト中に変更を加えた場合、変更箇所がテスト結果に影響を与える可能性があります。テストをおこなっている箇所以外は極力変更を加えないことが大切です。

代表的なABテストツール

代表的なABテストツール

ABテストツールを使うと、異なるパターンの作成や成果の比較などの作業を効率的に進められます。代表的なABテストツールは次の3つです。

Googleオプティマイズ(無料ツール)

Googleオプティマイズを使うと、WEBサイトのABテストや多変量テストなどが無料で実施できます。

ビジュアルエディタによって、ソースコードを編集せずにABテスト用のパターンを作成できる点がGoogleオプティマイズの特徴です。

Ptengine Experience(有料ツール)

Ptengine Experienceでは、ABテストだけでなく、ユーザーに合わせてWEBサイトの内容を変更するパーソナライズ機能なども使えます。
無料のプランにはABテストの機能が含まれていないため、月額8,778円(税込)のGrowthプランか、従量課金のPremiumプランの契約が必要です。

SiTest(有料ツール)

SiTestにはABテスト機能のほか、ヒートマップや入力フォームの最適化機能が含まれます。

ヒートマップを使って、ABテストの分析が可能です。SiTestの利用料金は要問合せとなっています。公式サイトから申し込むと、無料トライアルが可能です。

ABテストでクリック率やコンバージョン率を高めましょう

ABテスト

2つ以上のパターンを作成し、成果を比較する手法はABテストと呼ばれます。
比較的低コストで実施でき、外的要因による影響を受けにくい点がABテストのメリットです。
WEBサイトやWEB広告、アプリなどがABテストの対象となります。

ABテストを実施する際は、最初にテストの目的を決めることが大切です。
目的を達成するために改善するべき箇所や改善内容を考え、ABテストの実施後は効果検証をおこないましょう。

ツールを使用すると、ABテストをより効率的に進められます。
WEBマーケティングやアプリ開発に携わる方は、ABテストを実施してみてはいかがでしょうか。

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