Googleアナリティクス（GA4）のGoogleシグナルとは？

Googleアナリティクスの管理画面を開いた時に、「Googleシグナルのご紹介 新しいクロスデバイス機能などを活用しましょう」というバナーを見た経験がある方も多いのではないでしょうか。

Googleシグナルは、正確なアクセス解析に役立つ便利な管理機能です。今回の記事では、Googleシグナルの概要を説明し、使用するメリット・デメリットや設定方法、設定の際の注意点を解説します。Googleシグナルを理解したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

※関連記事： 【Googleアナリティクス(UA・GA4)】作業効率がアップするおすすめの初期設定を解説

1.Googleシグナルとは

「Googleシグナル」（Google signals）はGoogle社が提供する機能の一つで、Cookieに限定されない個人を特定する技術として、GoogleアナリティクスをはじめとしたGoogleのサービスで用いられています。

Googleシグナルでは、Google検索やGoogleメール、Googleマップ、YouTubeなどのさまざまなGoogleによるサービスを中心としたクロスデバイスでの行動をもとに、ユーザーとその属性を匿名で特定します。>そのため、Googleシグナルの利用によって、Cookieとは別軸でクロスデバイスに対応した分析・解析が可能になるのが大きな特徴です。

「クロスデバイス」とは、サービスやコンテンツを閲覧した情報が、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの複数のデバイス間をまたいで引き継がれることです。異なる端末を使っていても同じユーザーのアクセスと判断されるため、より正確なユーザー数の計測や、よりユーザーに適した広告の表示ができます。

Googleシグナルが機能するには、前提として以下の条件が必要になります。

また、GoogleアナリティクスでGoogleシグナルのデータ収集を有効にしておくことも必要です。

2.Googleシグナルを使用するメリット

Googleシグナルを使用するメリットとして挙げられるのは、下記の2つです。

それぞれ解説します。

正確なユニークユーザー数の把握ができる

Googleシグナルを有効化することで、クロスデバイスに対してユーザー属性の重複を省いた計測が可能になります。これにより、ユニークユーザー数の正確な把握につながるのがメリットです。ページのPV・セッション数が多く、ユニークユーザー数が少ない場合、特定のファン層に人気があるだけで新規顧客を獲得するのにはあまり役に立っていない可能性があります。

しかし、Googleシグナルが有効化されていなければ、「単にPV数やセッション数が高いだけ」といった誤った分析結果になるかもしれません。<そのため、費用対効果を高める正しい施策を検討するには、Googleシグナルを有効にしておくことが重要です。

ユーザーごとの広告効果やCV増加に期待ができる

Googleシグナルを利用して同一ユーザーによるクロスデバイスを計測すれば、ユーザー行動が可視化できます。可視化された正確なユーザー行動を把握することで、具体的な施策が打ち出しやすくなります。

例えば、パソコンのオーガニック検索で認知された商品がスマートフォンのリスティング広告を経由して購買されるケースが多い場合、パソコンのリスティング広告の予算を削減し、SEOに注力する施策を検討するとよいでしょう。このように、Googleシグナルの有効化で得られた情報を効果的に活用し、さまざまな施策を打つことで、ユーザーごとの広告効果やCV増加が期待できます。

3.Googleシグナルを使用するデメリット

Googleシグナルを使用するデメリットは、次の2つです。

それぞれ解説します。

Googleアカウントを持つユーザーのみに有効

Googleシグナルは、Google社が提供するサービスです。のため、活用できるのは、「Googleアカウントを持つユーザー」の情報に限られます。GoogleアカウントのないユーザーがクロスデバイスでWEBサイトを訪問した場合、重複は排除されず別々でカウントされてしまいます。

また、Googleアカウントを持っているユーザーであっても、パソコンやスマートフォン、タブレットなどそれぞれのデバイスごとに異なるGoogleアカウントを設定していることもあり得ます。このような場合でも、別々でカウントされる点に注意が必要です。

アクセス数が少ないとカウントできない場合がある

Googleシグナルの有効化によって、高い精度でユニークユーザー数を把握する場合、ある程度のアクセス数が必要になります。

例えば、WEBサイトの立ち上げ直後や集客強化の途中などでアクセス数が少ない段階では、ユニークユーザー数の計測に不具合が出て、閾値が適用される可能性もあります。アクセス数が少ないとカウントできない場合があることを、理解しておくとよいでしょう。

4.Googleシグナルの設定方法

それでは、Googleシグナルを設定する場合はどのような方法でおこなうのでしょうか。Googleシグナルは、Googleアナリティクスの補完機能です。そのため、Googleアナリティクスの導入・設定が前提になります。Googleシグナルを設定する前に、Googleアナリティクスを設定しておきましょう。

また、Googleシグナルの設定には、GA4で設定する場合とユニバーサルアナリティクスで設定する場合の2種類があります。GA4（Google Analytics4）とは「Googleアナリティクス 4プロパティ」の略で、2020年10月にリリースされたGoogleアナリティクスの最新バージョンです。

一方、ユニバーサルアナリティクスとは「旧Googleアナリティクス」のことで、2023年7月1日で計測が終了しています。最短で2024年1月1日にはデータ閲覧ができなくなりますが、参考までに設定方法を紹介します。

ここからは、それぞれの手順について詳しく解説していきます。

GA4で設定する場合

Googleアナリティクスの最新版であるGA4では、Googleシグナルとの連携が従来よりも強化されています。

GA4でのGoogleシグナルの設定手順は、下記のとおりです。

そのあと、画面の流れに沿って指示に従いながら、Googleシグナルの有効化をおこなっていきます。

ユニバーサルアナリティクスで設定する場合

ユニバーサルアナリティクスでGoogleシグナルを設定する場合は、以下の手順でおこないます。

そのあと、下記の流れに沿って指示に従いながら、Googleシグナルの有効化をおこないます。

GA4の場合も、ほぼ同様の流れで簡単に設定を完了させることができます。

5.Googleシグナル設定時の注意点

Googleシグナルを設定する際は、下記の3つの点に注意する必要があります。

それぞれ解説します。

Googleの提示するポリシー要件への同意

Googleアナリティクスには、Googleシグナルだけでなく、広告に関するさまざまな機能が用意されています。これらの機能は通常、「OFF」の設定になっており、「ON」に切り替える場合は、Googleの提示するポリシー要件への同意が必要です。

ポリシー要件はしっかり読んで理解しておくことが重要で、特に注意したいのは「個人情報などを特定するような行為の禁止」です。Googleシグナルの設定の際は、細かな条件なども把握しておきましょう。

ユーザーに対して必要なプライバシー情報の開示

広告に関する機能をONに切り替える際は、必要なプライバシー情報をエンドユーザーに対して開示しなくてはいけません。

例えば、Googleシグナルなどの機能を使って取得した情報の使用方法や、ユーザーのオプトアウト方法などの開示が求められます。そのため、あらかじめプライバシー情報を決めておくことが重要です。

ユーザー側でデータを閲覧・削除できてしまう

Googleシグナルを利用する場合、ユーザー側でデータを閲覧・削除できてしまう点にも注意が必要です。Googleアカウントには、ユーザー側で広告カスタマイズに使われるデータの閲覧や削除を設定できる機能があります。

この機能はマイアクティビティ内にあり、ユーザーがこの設定をONにすることでGoogleシグナルにも影響がおよびます。数値やデータを正確に測定できなくなる可能性があるため、このような機能があることを把握しておくとよいでしょう。

まとめ

「Googleシグナル」（Google signals）はGoogle社が提供する機能の一つで、利用することによってクロスデバイスに対応した分析・解析が可能になります。Cookieに限定されない個人を特定する技術として、Googleアナリティクスの最新版であるGA4でも強化されています。

Googleシグナルを使用するメリットとしては、正確なユニークユーザー数の把握ができる点や、ユーザーごとの広告効果やCV増加に期待ができる点が挙げられます。一方、Googleアカウントを持つユーザーのみに有効であったり、アクセス数が少ないとカウントできないケースがあることなどがデメリットになります。

Googleシグナルの設定は、Googleアナリティクスの設定・導入が前提です。Googleアナリティクス最新版のGA4で設定する際は、ユニバーサルアナリティクスで設定する場合とほぼ同様の手順で進めることが可能です。

また、Googleシグナル設定時の注意点として挙げられるのは、Googleの提示するポリシー要件への同意とユーザーに対するプライバシー情報の提示です。さらに、ユーザー側でデータを閲覧・削除できてしまうGoogleアカウントの仕様にも気をつける必要があるでしょう。

Googleアナリティクスを利用している方は、正確なユーザー計測をおこなうためにも、今回の記事を参考にしてGoogleシグナルの導入を検討してみてください。