社員の努力を無駄にする?リスティング広告で「指名キーワード」を使用しないという選択

香取
指名キーワード=社員の努力

WEBマーケティングにいそしんでいるみなさまこんにちは!

日夜、「コンバージョン」、「リード」獲得に尽力していることと思います。
今回はリスティング広告において、たびたび議論になる「指名キーワードを出すか出さないか問題」を考えてみます。

日本の銘菓でもある、「きのこの山&たけのこの里、どっちが好きか問題」みたいなテーマですが、ぜひお付き合いください。

リスティング広告における「指名キーワード」とは

一般的には、自社の社名やサービス名、製品名、商品名などの自社の「固有名詞」にあたるものを指すときに使われます。ブランドキーワードと呼ぶこともあります。

また、このような固有名詞などを検索するときは、「指名検索」、「ブランド名検索」などと呼んだりもします。

目的は存在をアピールすること

GoogleやYahooなどの検索エンジンで会社名や商品名などを検索した人が、すぐに目的のWEBサイトを見つけられるように「ここにいますよー!」と、存在をアピールするためです。

だれでも、好きな会社や商品、ブランド名などを検索したことはあると思います。そのときに、すぐに見つからないとストレスを感じると思いますが、そのストレスを減らし目的のWEBサイトに簡単にたどり着けるようにする役割を持っています。

存在をアピールすることと書きましたが、WEBサイトを探している人に対しての気遣いとも言えます。

検索結果で見つかりやすくするための「上位表示」

この記事を読まれている人なら、「SEO対策」についてもご存知かと思います。
簡単に説明すると、検索結果のページのなかで、上の方に表示されるとアクセスされやすくなります。

リスティング広告で「指名キーワード」を出すか出さないかを考える前に、まずはSEO対策で上位に表示された場合のメリットを復習してみます。

SEO対策で上位表示されたときの「CTR(クリック率)

Google検索結果

たとえば、当社の社名「株式会社タガタメ」を検索したときに、一番上に表示されれば、検索した人はすぐにタガタメを見つけることができます。
上の画像のように、検索結果の1番目に表示されるとベスト。

検索に使用されたキーワードにもよりますが、一般的なキーワードであれば上位に表示されると、15~30%ほどのCTRは期待できます。

たとえば、こちら。

Googleサーチコンソール 一位表示のCTR(クリック率)

こちらは、Google Search Consoleのデータになります。
一番左の列の「上位のクエリ」はぼかしていますが、実際に検索されたキーワードが表示されています。

どれも掲載順位は1位のものになりますが、CTR(クリック率)は1番高いもので39.0%、1番低いものでも、23.8%ものCTRとなっています。

CTRは高いほうがWEBサイトへのアクセスに繋がりますので、とても重要な指標です。

上記のデータの中には指名キーワードだけでなく、一般的なキーワードもまざっていますが、会社名やサービス名などの指名キーワードであれば、50%を超えるようなCTRも見込めます。

自社のWEBサイトが、上位に表示されて、たくさんの人にアクセスされることを嫌がるWEBサイトオーナーはいないかと思います。

忘れてはいけない、「リスティング広告枠」の存在

ここからが今回の記事の本題になります。
忘れてはいけないのが「リスティング広告」の存在です。
ご存知の方も多いと思いますが、検索結果画面には、リスティング広告の枠が存在します。

Google検索結果におけるリスティング広告枠

青い部分がGoogle広告の広告枠となります。オレンジの枠が自然検索の1位となります。
リスティング広告は、自然検索の結果よりも上部に表示されます。

上の画像では、当社を明確に検索するために「WEBマーケティング会社 株式会社タガタメ」と検索しています。
当社のSEO対策による順位は1位ではあるものの、広告枠においやられて目立たなくなっています。

SEO対策で1位に表示できていたとしても、他社のリスティング広告が上に入ってくると、自社WEBサイトを訪れる可能性があったユーザーが、他社サイトへ流入してしまう可能性が高くなります。

ここで、重要になってくるのが、自社の「指名キーワード」をリスティング広告で出稿するかどうかという判断です。

リスティング広告で「指名キーワード」を使うか使わないか問題

「指名キーワード」を使ってリスティング広告を出稿するかどうかは、個人的には必ず使ったほうが良いと考えています。

指名キーワードで検索されるということは、自社に対して興味を持ってくれた人の能動的な行動と言えますので、その後の問い合わせに繋がる可能性が高いアクセスとなるはずです。

また、上で説明したように他社のリスティング広告によって、自社が目立たない位置においやられてしまうことを避けるためにも、自社の指名キーワードでリスティング広告が表示されるようにしておくことはとても重要です。

ところが、まれに「指名キーワードはリスティング広告で使いたくない」という担当者様もいます。

なぜ使いたくない人もいるのか?

使いたくないとおっしゃる担当者様の理由はたいていこの2パターンです。

  • SEO対策で上位にいるから必ずWEBサイトに来てもらえる
  • SEO対策で上位にいるから指名キーワードに広告費をかけるのは馬鹿らしい

気持ちは分かるのですが、このときの判断基準は、目で見えるものでしか考えていないのではないかと思います。

「目に見えないもの」「見落としているもの」があることも考えてみましょう。

「君の名は?」これでも指名キーワードを使いませんか?

企業に属している人や事業を行っている人は、必ず営業活動をされていると思います。指名キーワードでリスティング広告を出す意味を考えるには、「会社全体の活動」にも目を向けて考えてみましょう。

会社全体の活動としては、さまざまな部門・職種の人が関わっているはずです。

  • 営業チーム
    足を使った営業、電話やメールなどを使った営業など
  • マーケティングチーム
    集客の企画を考えたり、広告やSNSを活用したり、集まったデータを分析し、次の集客を考えるなど
  • 広報
    広報活動を通じて、自社のブランディング、認知度を高めるような行動など
  • WEBデザイナー
    WEBサイトやバナー制作、名刺のデザイン、社内資料の作成など
  • 開発チーム
    サービスサイトや商品の開発、アップデート作業など
  • ECサイト
    商品の撮影や検品、在庫管理、発送、問い合わせ対応など
  • 総務や人事、経理、バックオフィスなど
    さまざまな書類の作成や処理、社内・社外とのさまざまな調整など

すべての職種とすべての活動は、会社が成長し存続していくためにはどれも必要不可欠です。このような活動が絡み合って、商品やサービスなどは作られ、そして利用する人の手元に届いていくことになります。

これらは当たり前過ぎて、つい「見えなくなりがち」なことかと思いますが、ここで気づいて欲しいことがあります。

たくさんの人がさまざまな活動をして、どんなに優れた商品やサービスを作り上げたとしても、その商品やサービスに「名前」がなかったらどうでしょうか?

その会社やあなた自体に「名前」がなかったらどうでしょうか?

営業部門の人が、社名も名前も名乗らず、名刺も出さないで営業活動をするでしょうか?
WEBサイトやサービス、開発した商品に名前をつけないで世に売り出すでしょうか?

どんなに優れたものでも、名前がなければ人に覚えてもらうのはとても難しくなります。
どこの会社の何という名前のサービスかも分からなければ、それを探す手立てがありません。

社名やサービス名、商品名などの「指名キーワード」は、全従業員の努力の集大成となる非常に重要なキーワードなのです。

せっかく会社一丸となって作り上げた自社サービスや自社商品なのですから、指名キーワードは使わなければとてももったいないことです。

※関連記事: リスティング広告の指名キーワードを出稿する理由とメリットを解説

指名キーワード使わないということは社員の努力を無駄にすること

タイトルの回収になります。

リスティング広告において、指名キーワードを使わないということは、すべての社員の活動を無駄にすることとなります。

名前がなければ、「それ」を求めている人がいたとしても目的地にたどり着けなくなってしまいます。
せっかく、認知度を高めるために行ってきた活動は、すべてが無駄になってしまいます。

少し大げさかもしれませんが、もし大げさと思われた人は、一ヶ月間だけでも自社の名前や商品名をWEBサイトや名刺、資料、広告、商品パッケージなどからすべて削除して、口頭でも使わないようにして営業活動を行ってみてください。

「今から日本語禁止!ポルトガル語だけで会話するゲーム開始!」のような感じになってしまい、営業活動はきっと苦労するはずです。

このようなことにも目を当てると、指名キーワードを使わない手はないのではないでしょうか。

「指名キーワード」でリスティング広告を出さないというのは、

  • 名刺交換のときに、社名を書かない真っ白な名刺を配ること
  • 問い合わせの電話がかかってきたときに、社名を名乗らないこと
  • オフィスが入っているビルの入り口の看板に、社名を表示しないこと
  • 会社名、サービス名、商品名をもたないこと

こういう、「ありえないこと」をしているのと同等ではないかと思うのです。

まとめ

指名キーワードを使わないということは、名前を覚えてもらはないということ

名前を覚えてもらわないということは、すべての営業活動を無駄にしてしまうこと

どんな企業でも、社名であったりサービス名を決めるときは、たくさんの時間を使い真剣に考えたはずです。

たった一人の担当者の独断で、「指名キーワードは使わない」と判断するのではなく、社内コンセンサスをしっかりとったうえで判断したほうがよいでしょう。

「指名キーワード」は営業活動を円滑にするためのものです。広告費をカットするという理由だけで指名キーワードを使わないのでは、「目的と手段が入れ替わってるー!」となってしまいます。ご注意を。

最後に

当社はリスティング広告の運用代行や、WEBマーケティングを支援する立場ですので、ポジショントークと思われる面は多分にあります。

それでも、指名キーワードは絶対に使ったほうがよいと考えています。
指名キーワードを使うかどうかの判断1つで、会社に関わった人たちすべての努力を無駄にしないために。
真剣に事業の未来を考えているのなら、全社員の営業活動を無駄にしないようにしたいですね。

ちなみに「きのこの山&たけのこの里」でいうと、今の気分はきのこ派です。

それでは!

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    香取

    子どものころに読んだ「トーマス・エジソンの伝記」。幼少のエジソンが「1+1はなぜ2なの?大きな1だよ…!」と、2つの泥だんごを1つにしながら先生に問いかけたシーンに衝撃をうけました。1+1はいつも2ではない。あたりまえっぽいことに疑問を持てるようにこころがけています。

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