リスティング広告の運用をしていて、あるとき「コンバージョンの数値が急に止まってしまった」といった経験はありませんか?
通常通り運用していた場合、突如広告に対しての反応がなくなったということは考えにくく、何かしらの原因によってコンバージョンが正しく計測されなくなっている可能性があります。
本記事では、コンバージョンが計測されない場合に考えられるいくつかの原因と、その対処法について解説します。
コンバージョンが正しく計測されないときがある?
コンバージョンの数値を確認しようとし管理画面を開いたとき、
- コンバージョンページへのアクセスが反映されていない
- 直帰率などの数値が異常に低下している
- そもそもデータ計測自体ができていないように見える
上記のような現象が起こっている場合、コンバージョンが正しく計測されていない可能性があります。
昨今広告の自動化が進みコンバージョンの数値を最適化することが運用者での定説になってきているいま、広告運用で成果を意味するコンバージョンは、正しい計測をおこなうことが何よりも重要です。実際の数値と計測されている値に乖離がある場合、成果が見込める広告にも関わらず掲載を停止してしまったり、予算配分を誤ってしまったりと、今後の運用に悪影響を与える可能性があります。
そのような事態を防ぐためにも、コンバージョンが正しく計測されているのかを事前に確認し、おかしな点があればすぐ対処するようにしましょう。
※関連記事: コンバージョンの価値に基づいた入札戦略とは?
コンバージョンが計測されない際に疑うべき原因8つ
「もしかして、コンバージョンが正しく計測されていないのでは?」と思ったら、疑うべき原因がいくつか存在します。
ここでは、よくある8つの原因を解説します。このうちのどれか、あるいは複数の原因が重なって問題が発生している可能性があるので、なぜ計測ができないのかを探ってみましょう。
1.同じようなコンバージョンタグが重複している
1つのページに同種のコンバージョンタグが複数設置されていると、コンバージョンの計測が正常に動作しない場合があります。単純なミスだからこそ、発生する可能性は高いものです。例えば、自社で発行していないアナリティクス計測用のタグを、クライアントのほうであとから追加したケースなど、ありえない話ではありません。
そのため、まずはコンバージョンタグが1つのページに複数設置されてないかどうかを確認してみましょう。
2.一部のコンバージョンタグがオフになっている
一部のコンバージョンタグをオフにしていたことで、コンバージョンが正しく計測されないケースも想定されます。こちらも単純なミスですが、意外と見落としがちなポイントです。
広告の管理画面より、タグがオフになっていないかを確認しましょう。
3.コンバージョンタグの削除や欠損の可能性
コンバージョンが正しく計測されなくなったタイミングが、WEBサイトの変更や修正をおこなった直後だった場合、まずはコンバージョンタグを誤って削除したり欠損させたりしていないかを疑ってみましょう。
WEBサイトの変更や修正をおこなう際に、誤ってコードを削除したり、余計な記号を追加したことが原因で、正しくコンバージョン計測ができなっている可能性があります。
4.コンバージョンタグの仕様変更
コンバージョンタグの仕様変更があった場合、今までのコンバージョンタグが使えなくなり、計測できなくなっている可能性があります。
仕様変更は事前告知がない場合もあるため、コンバージョンタグを設置しているメディアの情報をこまめに確認することが大切です。コンバージョンタグの仕様変更が確認できたら、速やかに最新のものに差し替えるようにしましょう。
5.コンバージョンタグが設置されていないサイトがある
もし自社でパソコンとモバイル両方のサイトを作成・運用している場合、パソコンサイトにはタグが設置されているのにスマートフォンサイトに設置されていない、といったように、どちらかのサイトにコンバージョンタグを設置していないため、正常に計測されていないことも考えられます。
どちらかというと運用初期に起こりやすいケースのため、運用開始直後は特に要注意。デバイスごとの設置状況を確認してみましょう。
6.フィルタ設定による計測漏れ
フィルタの設定により、特定のIPやデバイスからのコンバージョンを対象外ととらえ、計測していない場合もあります。計測ツールの管理画面から、フィルタ設定を確認しましょう。
例えば、計測にGoogleアナリティクスを使用している場合、管理画面から対象ビューの「フィルタ」を選択し、フィルタの設定を確認できます。
7.ブラウザ側の仕様変更
あまり多いことではありませんが、ChromeやSafariなどブラウザの仕様変更によって、コンバージョンが正しく計測されないこともあります。
いくつか原因を探っても問題解決に至らない場合、ブラウザの開発者向けリリースなどを念のため確認してみてください。
8.コンバージョンの定義の違いが影響
「配信された広告をクリックしたユーザーはいるものの、コンバージョンしたユーザーがカウントされていない」といった場合、「広告媒体側ではコンバージョンが計測されているが、効果測定ツール側では計測されていない」という現象が起こっている可能性があります。
例えば、Google広告とGoogleアナリティクスとでは、コンバージョンの定義が下記のように異なります。
Google広告:最終的にコンバージョンした経路でのみ、コンバージョンをカウント
Googleアナリティクス:最終的に別経路からコンバージョンしていても、一度でもそのWEB広告にアクセスしていれば、WEB広告経由のコンバージョンとしてカウント
このように、広告媒体と計測ツールによってコンバージョンの定義が異なることが原因で、コンバージョンが正しく計測されていないことも考えられます。
コンバージョンが計測されない際の対処法
ここまで、コンバージョンが計測されない8つの原因を解説しました。
原因が探れたところで、続いてそれらの問題にどのように対処すればよいのか、対処法と問題発生個所の確認方法を解説していきます。
コンバージョンタグを正しく設置する
そもそもコンバージョンタグが正しく設置されていなければ、正常なコンバージョン計測はおこなえません。
コンバージョン計測に異常を感じたとき、まずは設置したコンバージョンタグが正しい場所に場所されているかを確認しましょう。その際、特に確認すべきポイントを4つ、以下に解説します。
HTMLソースをブラウザで直接確認
コンバージョンタグが正しく設置されているかを確認するには、まずブラウザでHTMLソースを表示することが簡単かつ確実です。
Google ChromeやFirefox、Edgeなど主要なWEBブラウザであれば、対象のページで右クリックすると「ページのソースを表示」というメニューが表示されます。そこからページのHTMLソースの確認が可能です。
ブラウザの開発者ツールで確認
Googleが提供しているブラウザ「GoogleChrome」には、「開発者ツール」が搭載されており、ページを確認しながらHTMLソースを閲覧できます。こちらはより開発者視点でのタグの確認が可能です。
GoogleChromeで確認する場合、「F12キーをクリック」「Ctrl+Shift+[I]」「右クリックで表示されるメニューから検証を選択」などの方法で開発者ツールを表示できます。
また、先ほど考えられる原因のひとつとして解説した「パソコンとスマートフォンのどちらかにのみタグを設定している」場合についても、この開発者ツールで確認できます。開発者ツールからモバイルページのソースを開き、タグが正しく設置されているか確認しましょう。
タグ管理ツールのトリガー設定をチェック
タグ管理ツールを利用している場合、タグが実行される条件となるトリガーが間違っていることが原因で、コンバージョンタグが反応しない可能性もあります。そのため、トリガーの実行条件を見直してみる必要があります。
GoogleタグマネージャーやYahoo!タグマネージャーを使用している場合、ツール上でタグがきちんと実行されるかを「プレビュー機能」でチェックできます。トリガーを修正して再度プレビュー機能でチェックし、正常に実行されるようになったら、実際に配信して持て一度様子を見てみましょう。
Google Tag Assistantで確認
Chromeの拡張機能「Google Tag Assistant」を使用すると、ワンタッチでGoogle広告のタグの実行状況を確認できます。また、実行時にどのような問題が発生したかまで確認することも可能です。なお、Googleが提供するサービス以外は対象外となります。
参考:About Tag Assistant – Tag Assistant Help(英語サイト)
適切なコンバージョンタグを設置する
タグの発行から設置するまでの間に、何らかの理由でタグ自体に変更が加わってしまうケースがあります。正しいと思っていたタグが間違って設置されていたケースもあるため、計測に問題があった場合は確認してみるようにしましょう。
特に確認するべきポイントは、以下の2点です。
タグのコードにヌケモレがないかチェックする
タグを発行してサイトに設置する際、タグをコピーしてサイトなどに貼り付ける必要があります。その際に、タグの一部のコードをコピーし損なってしまうこともたびたび起こり得ます。どれだけ気を配っても、人の手によるものである以上、コピペミスを完全になくすことは不可能です。設置時点でヌケモレがないか、チェックしておくことをおすすめします。
タグが最新の仕様かチェックする
広告媒体によっては、システムのアップデートなどによってタグが新しくなっている(変更されている)ケースがあります。一見、正しいタグが設置されているように思えても、ちょっとした違いが原因となってコンバージョンに影響することもあるため、タグが最新の仕様になっているかは十分に確認する必要があります。
広告の管理画面を正しく設定する
「タグは正しく設定されているようだでも、計測ができていない」という場合、広告管理画面上の設定を疑ってみる必要がありそうです。
広告の管理画面を正しく設定できていないと、コンバージョンを正しく計測できません。下記2点のポイントを確認し、管理画面が正しく設定されているかチェックしてみましょう。
「コンバージョン列に含める」設定をチェック
リスティング広告では、管理画面で「コンバージョン列に含める」のチェックを外してしまうと、コンバージョンに該当する数字が反映されない現象が起こる可能性があります。つまり、コンバージョン計測自体は正常におこなえているのに、設定が誤っているため数字が反映されていない状態です。
この場合、広告の管理画面上で「コンバージョン列に含める」をオンにするだけで、問題は解決します。
コンバージョンのステータスをチェック
設定していたコンバージョンのタグを、意図せず何かしらの要因で削除してしまったり、無効にしてしまっていることも考えられます。その場合、ページ上にコンバージョンタグを設置していても、コンバージョンの計測がおこなわれなくなってしまいます。
管理画面上でタグを削除してしまっていた場合、再度タグを発行し、再設置する必要があります。「間違っているはずがない」と思っている場合でも、一度疑ってみる姿勢が重要です。
まとめ
リスティング広告において、コンバージョンの計測ができない場合について解説しました。原因となるパターンや箇所を事前にある程度把握しておくことで、コンバージョンエラーが起きている場合でも冷静かつ迅速に対応し、速やかに問題解決に向かうことができます。
もし、本記事で解説したような対処法を試してもコンバージョンが計測されない場合、「管理画面に反映するまでタイムラグが発生している」「サイト側で何らかのシステムエラーが発生している」などの原因も考えられます。
どうしても問題が解消されない場合は、媒体サポートに問い合わせたり、あるいは再度コンバージョンタグを発行して設置し直すなど、別のアプローチでの問題解決も検討してみましょう。コンバージョンの数値を正しく計測できるように整えることも、広告運用者にとっては必要なスキルです。
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