Googleアナリティクスは、WEBサイトを分析するときに使うツールです。
WEBサイトには日々さまざまなユーザーがアクセスしてきますが、アクセスしてきたユーザーがどのような人でどのようなページを見ているかがわかると、施策のヒントになります。
今回は、Googleアナリティクスの概要や活用事例、導入方法をご紹介します。
また、有料版との違いや、最新のGoogleアナリティクス4にも触れます。
WEBサイトを分析してマーケティングに活用したい人は、ぜひ参考にしてください。
Googleアナリティクスの基本的使い方や活用方法を簡単解説
目次
Googleアナリティクスとは
Googleアナリティクスとは、Googleが提供しているアクセス解析サービスのことです。有料版もありますが、基本的には無料で使えます。
WEBサイトのHTMLソースに「タグ」を設置することで、誰でも自分のサイトのアクセス解析をすぐ始めることができます。
Googleアナリティクスは無料で高機能であるためアクセス解析の標準サービスとして世界中のWEBサイトで使われています。
オーストラリアのテクノロジー調査WEBサービスのBuiltWith.comによれば、2021年7月現在、世界で推定2,883万以上のサイトに、日本でも推定74万サイトに導入されています(※)。
参考元:BuiltWith®「Google Analytics Usage Statistics」
Googleアナリティクスが業界標準である理由
Googleアナリティクスが業界標準で使われているのは、無料なのに高機能な点が大きいでしょう。
初心者がおこなう簡単なアクセス解析から、プロユースの複雑な解析まで幅広く対応できます。
また、Googleのヘルプページやオンライン講座から一般のWEBサイトや書籍まで、Googleアナリティクスを解説したコンテンツは多く存在するため、使い方を学びたいと思ったとき、これらのコンテンツですぐ学べて知識が得られるところも、業界標準になった理由のひとつです。
高機能なのに無料
Googleアナリティクスは高機能なアクセス解析です。
WEBサイトにどれだけの訪問があるかだけでなく、どこから来ているか、WEBサイト内でユーザーがどう行動しているのか、目的のページまでたどり着いたかどうか、WEBサイトがどれだけ売上に貢献したかなど細かく集計し、把握・分析できます。
また計測対象も、ページへのアクセスだけでなく、クリックやダウンロードなどのイベントも計測可能です。
さらに、GoogleサーチコンソールやYouTube、Google広告、GoogleデータポータルなどのGoogleサービスと連携させ、SEO対策や動画のCV貢献度、リマーケティングリスト、わかりやすいカスタマイズレポートを出すこともできます。
これらの機能がすべて無料で利用できるため、Googleアナリティクスは多くのWEBマスターやマーケターに愛用されています。
初心者からプロまで幅広い需要に対応
Googleアナリティクスは高機能で標準的に使われているツールなので、初心者からプロまで幅広い需要に対応できます。
例えば、月に何件のアクセスがあって、どこのページがよく見られているか知りたい場合、2~3クリック程度ですぐにデータにアクセスして確認できます。
レポートもテンプレートが用意されているので簡単に出力できます。
一方、ユーザー個々のサイト内行動を把握したり、サイトアクセスだけでなく資料のダウンロードボタンのクリック数も把握したいなど、少し踏み込んだアクセス解析も、設定やタグを変更するだけで可能となります。
Googleアナリティクスは、簡単な把握から深い解析まで、幅広く対応できるところが大きな魅力です。
学習しやすく問題解決も容易
使い方を学習しやすい点もポイントです。無料版ではGoogleが電話でサポートしてくれることは残念ながらありませんが、「Googleアナリティクスアカデミー」という無料のオンライン講習を用意してくれています。
使い方がわからないときはヘルプセンターや 「Googleアナリティクス ディスカッションフォーラム」などで疑問を解決したり詳しい人に質問したりできます。
Googleの公式サービス以外でも、インターネットや書籍でGoogleアナリティクスに関する情報は数多く出てくるため、操作や用語などは容易に調べることができるでしょう。
なお、初心者の方でGoogleアナリティクスを学びたいときは、Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)を取得してみるのもおすすめです。
資格試験の勉強を通じてアナリティクスの知識を一通り習得できます。資格自体も業界内で高く評価されているものなので、取っておいて損はありません。
計測できる主なデータと見方・使い方

ここでは、Googleアナリティクスで計測できる主なデータと、データの見方を説明します。
WEBサイトは公開してからの改善作業が、効果を最大化させる鍵となります。Googleアナリティクスでは、どのようなユーザーがどこから来ていて、どういう経路でサイト内を行動し、目標にどれだけ到達しているかなどのデータを閲覧できます。
このようなデータを分析することで、WEBサイトのボトルネックがどこかを把握し、サイトの改善につなげることができます。
どのようなユーザーがサイトに訪れているか
Googleアナリティクスは、サイトにアクセスしてきたユーザーの属性を知ることができます。年齢や性別、興味関心(アフィニティカテゴリ、購入意向の強いセグメント、その他のカテゴリ)、地域、デバイスなど、わかる情報は多岐に渡ります。
そしてこの情報ごとに、訪問数や新規/リピータの割合、滞在時間、離脱率などを把握・分析できます。
参照するレポート:「ユーザー」レポートの「ユーザー属性」や「インタレスト」「地域」「モバイル」など
ユーザーがどこから来たか
「集客」レポートを見れば、ユーザーがどうやってサイトに来訪したか、その流入経路がわかります。
Google・Yahoo!JAPANなどの自然検索や外部リンク、SNSからの流入、ブックマークなどからの直接流入、リスティング広告やバナー広告などWEB広告からの流入などが判別できます。
URLに固有の文字列(パラメータ)を振っておけば、メディアごとの流入経路などがわかります。
また、Googleサーチコンソールと連携させることで、検索キーワードなども把握できますし、Google広告と連携させれば、どの広告クリエイティブや設定キーワードから流入してきたかなども細かく分析可能です。
参照するレポート:「集客」レポートの「チャネル」や「参照元/メディア」「Google広告」「Search Console」など
サイト内でユーザーがどのように動いたか
Googleアナリティクスは、アクセスしてきたユーザーがサイト内でどのような行動をしているかも把握できます。
「行動フロー」を見れば、どのページからどのようなページにアクセスしているか、遷移の経路がわかりますし、「サイトコンテンツ」の「すべてのページ」を見れば、サイト内の個々のページについて、アクセス数や離脱率を知ることができます。
また、Googleアナリティクスでは通常、ページ移動に関する情報しか得られませんが、イベント設定をすることで、例えば買い物かごに入れるボタンが何回クリックされているかや、ページをどこまでスクロールされたかなど、ページ移動以外のユーザーの動きも把握できます。
参照するレポート:「行動」レポートの「サイトコンテンツ」や「行動フロー」
Googleアナリティクスで月別・日別のデータ集計方法とカスタムレポートをご紹介
目標達成数と達成プロセス
Googleアナリティクスで目標を設定しておくと、アクセスしたユーザーが何件コンバージョンページまで到達したか、到達するまでにどのような遷移をしてきたかがわかります。
例えば資料請求を目標としている場合、目標のページは資料請求の申込完了ページとなりますが、目標のページまでにはランディングページや資料請求申込情報の入力ページ、入力情報の確認ページなどのプロセスがあります。
その一連のページを「到達フロー」として登録しておくことで、資料請求完了までのプロセスの中のボトルネックがわかります。
目標達成のプロセスはファネルで見える化されており、ページに遷移したユーザーの割合がたやすく理解できます。
参照するレポート:「コンバージョン」レポートの「目標」や「目標達成プロセス」
Googleアナリティクスの活用事例
企業規模やWEBサイトの大小問わず、GoogleアナリティクスはさまざまなWEBサイトの改善に活用されています。3つの活用事例を挙げるので参考にしてください。
事例1:ECサイトA社
グローバルメニューのクリックイベントに着目し、メニューの並びを改善しました。
クリック数が多いものを、パソコン表示のサイトでは左に、スマートフォン表示されたサイトでは上に順番を入れ替え、より人気の高い商品群へのアクセスを高めています。
事例2:機械メーカーB社
WEBサイトでリード獲得目的の広告施策を実施する際、GoogleアナリティクスとGoogle広告を連携させたうえで、「2回以上サイトに来訪しており、かつ資料請求ページにおこなったことのない」ユーザーのリストをGoogleアナリティクス上で作成し、ディスプレイ広告を配信しています。
このようにして、興味はあるけど資料請求まで踏み出せない見込み客の資料請求を促進しています。
事例3:メディア運営会社C社
GoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールを連携させてキーワードごとのアクセス解析をおこない、検索ボリュームの大きいキーワードに関連するコンテンツを作ったり、トップページで上位表示させることで、アクセス数と回遊率のアップにつなげています。
Googleアナリティクスの導入方法
Googleアナリティクスの導入は、「Googleアカウントの取得」「Googleアナリティクスへの登録」「トラッキングコードの設置」の3ステップでおこないます。
以下、各ステップの詳しい手順を紹介します。
なお、2021年9月現在、Googleアナリティクスは後述するGoogleアナリティクス4と従来のユニバーサルアナリティクスの両方を使うことができますが、ここではユニバーサルアナリティクスに軸を置き説明します。
Googleアカウントの取得
まずはGoogleアカウントを取得します。すでにGoogleアカウントを持っている人は、このステップを飛ばして読み進めてください。
- Googleアカウントの作成ページへ行き、「氏名」「ユーザー名」「パスワード」を入力
- 電話番号を入力し、【確認】を押すと6桁の確認コードが記載されているテキストメッセ―ジがGoogleから送信されるので入力
- 「生年月日」「性別」「再設定用のメールアドレス(任意)」を入力
- 電話番号の活用については、特に必要ないので【スキップ】をクリック
- 最後に「プライバシーポリシーと利用規約」に同意してアカウント作成が完了
Googleアナリティクスへの登録
Googleアカウントが開設できたら、次はGoogleアナリティクスへの登録へと進みます。Googleアナリティクスの登録手順は下記のとおりです。
- Googleアナリティクスへアクセスし、Googleアカウントでログイン
- 【測定を開始】をクリック
- アカウントの設定の箇所で、アカウント名(必須)を入力し、アカウント設定:データ共有設定の必要項目にチェックを入れる
- プロパティの設定の箇所で、プロパティ名を入力し、タイムゾーンを「日本」、通貨を「円」に設定
- 【詳細オプションを表示】をクリックし、「ユニバーサル アナリティクス プロパティの作成」の横のスライダーを青色にする
- WEBサイトのURLを入力し【Googleアナリティクス4とユニバーサルアナリティクスのプロパティを両方作成する】にチェックし【次へ】をクリック
- ビジネスの概要の箇所でビジネス情報を入力し【作成】をクリック
- 「Googleアナリティクス利用規約」と「Googleとのデータ共有に適用される追加条項」の同意するにチェックを入れ、【同意する】をクリック
現在、Googleアナリティクスは後述するGA4とユニバーサルアナリティクスの両方を設定できます。従来から使われているのはユニバーサルアナリティクスですが、今後はGA4に置き換わっていきます。このため両方設置しておくことをおすすめします。 |
トラッキングコードの設置
Googleアナリティクスで計測を始めるには、WEBサイトにトラッキングコード(グローバルサイトタグ)を埋め込む必要があります。
- 【新しいページ上のタグを追加する】のタブを選択し、【グローバル サイトタグ(gtag.js)】の部分をクリックする
- 表示されるトラッキングコードを、解析したいすべてページのHTMLソース(<head>タグ直下)に貼り付ける
以上でGoogleアナリティクスの導入は完了です。
Googleアナリティクスの新バージョン「GA4」
「Googleアナリティクス4(GA4)」の正式版が2020年秋にローンチされました。Googleアナリティクス4は従来のGoogleアナリティクスと大きく異なっており、別のツールといっても過言ではありません。
将来的にはGoogleアナリティクス4が標準ツールになるとされていますが、2021年9月現在は移行期なので従来のユニバーサルアナリティクスも併用できるようになっています。
従来のGoogleアナリティクスとの違い
Googleアナリティクス4(以下、GA4)は、従来のユニバーサルアナリティクス(以下、UA)と比較し、さまざまな面が異なっています。
例えば、UAはcookieによりブラウザベースでユーザーを特定していましたが、GA4は会員ID、Googleシグナル、cookieと確度の高い順でユーザーを特定し、データ取得に反映させています。
これにより、異なるデバイスでアクセスしてきたユーザーを同一のユーザーとして認識する「クロスデバイストラッキング」の精度が向上しています。
また、UAの計測の基本はページビューでしたが、GA4は「スクロール」「離脱クリック」「サイト内検索」「動画エンゲージメント」「ファイルのダウンロード」などユーザーのサイト内行動が計測の中心に置かれています。
従来のUAでこれらを計測しようとすると、イベントトラッキングやカスタムディメンションなどの設定が必要でしたが、GA4では標準で取得できるので、特別な設定なしに見られるデータが大幅に増えました。
UAとGA4は、基本的な計測に対する考え方が違います。UAはページビューだけでアクセス解析をしていましたが、WEBサイトはユーザーがページにアクセスしただけでなく、そのなかでさまざまな行動を起こしています。
GA4ではその行動の計測を主眼としているため、ページビューもスクロールやクリック同様にイベントとして定義されており、さらにイベントに複数のパラメータ(ページURL、ページタイトルなど)が紐づいてデータ取得されます。
また細かいところでいえば、レポートの形式がまったく違い、UAであったような豊富なテンプレートもGA4にはありませんし、レポートで使われる言葉も違います。
指標としてUAでよく使われている「直帰率」はGA4では存在しません。UAに慣れている人にとって、GA4は一見とっつきにくいと感じるかもしれません。
新旧どちらを使うべきか
新旧のGoogleアナリティクスどちらを使うべきなのかというと、GA4が将来のGoogleアナリティクスなのでGA4を積極的に使うべきです。ただし、しばらくはGA4とUAと両方の併用をおすすめします。
GA4は従来のUAと考え方、操作方法、レポーティング、見るべきポイントなどが違うため、まずは導入して慣れることが重要です。
一方、従来のUAのレポートの指標を引き続き追っていき、過去からのデータを引き続き蓄積していくことも大事です。GA4を設置し、UAと併用しつつ慣れていき、最終的にGA4に移行する流れがよいでしょう。
有料版Googleアナリティクス360について
Googleアナリティクスには無料版と有料版があり、有料版は「Googleアナリティクス360」という名称で提供されています。
Googleアナリティクス360は月額150万円程度~と多額の費用がかかりますが、取得できるデータ量が無制限で、設定できるカスタムディメンションやカスタム指標の数も無料版の10倍あります。
また、Google広告やGoogleタグマネージャーの上位バージョンである「Google マーケティング プラットフォーム」やsalesforceなどCRMとの連携ができるなどの違いがあります。サポートがきちんとつくことも大きなメリットでしょう。
Googleアナリティクス360は、事業規模が大きい企業で、CRMやGoogleマーケティングプラットフォームなどと連携して高度なマーケティング分析をおこないたい場合に選ぶべきツールです。
例えば、あるメーカーなどでは、サイトのデータとCRMデータを活用し、来店しそうなユーザーのサイト内行動の可視化をおこない、より確度の高い見込み客へ広告配信などがされています。
利用料金は高額ですが、デジタルデータをフルに活かしたいマーケターにとっては、導入を検討したいツールです。
まとめ
Googleアナリティクスがなぜ業界標準として使われているのか、どのようなデータが取得できるか、また導入方法やデータの見方などをお伝えしてきました。
GoogleアナリティクスはWEBサイトを改善するうえで極めて重要なデータを教えてくれるツールです。ユーザーの属性などはもちろん、サイト内の行動データやイベントトラッキングなどでボトルネックを改善するだけで、コンバージョンが飛躍的に伸びることも十分にあります。
ぜひ一度、GoogleアナリティクスでWEBサイトの解析・分析にチャレンジしてみてください。

株式会社タガタメの代表。クライアントのデジタル戦略担当としてプロジェクトを成功に導く為の試行錯誤を繰返しています。その中で得た気づきなどをお伝えしていきます。
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