企業の使命や理念を知ることは、これまでどのように経営されてきたのかはもちろんのこと、今後どのような方向に事業を展開していくのかを知る手がかりになります。
広告を出稿する際に出稿先の媒体がどのような理念を持って運営されているのかは、目先の広告効果だけでなく、長期的な企業のブランディングにも関わってくるでしょう。
今回取り上げるGoogle。世界的な企業となったGoogleは、創業してからまだわずか20年ほど。創業時に掲げた理念は今も社員に共有され、それに沿ったサービスやプロダクトをリリースしては、世界を驚かせてきました。
それではGoogleの理念を見ていきましょう。
目次
Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること
Googleが掲げる企業としての使命は「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」です。
引用元:Google – 概要
さらに、Googleが企業として常にそうであるように努めている事実を「10の事実」として公表しています。それが以下の10項目です。
(1)ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみなあとからついてくる。
(2)1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
(3)遅いより速いほうがいい。
(4)WEB上の民主主義は機能する。
(5)情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
(6)悪事を働かなくてもお金は稼げる。
(7)世のなかにはまだまだ情報があふれている。
(8)情報のニーズはすべての国境を越える。
(9)スーツがなくても真剣に仕事はできる。
(10)「すばらしい」では足りない。
引用元:Googleについて
Googleのメインサービス
では、検索サービスから始まったGoogleが、これまでにどのようなサービスを打ち出してきたのでしょうか。それらを見ていけば、創業の使命や10の事実に沿っていることに気付くはずです。
Google検索
Googleの原点である検索サービス。精度高く表示される検索結果と使いやすさから、圧倒的なシェアを誇るGoogleの検索サービスは、今や生活するうえで欠かせません。
Google検索が圧倒的シェアを誇るようになったのも、表示される検索結果がユーザー第一主義だからです。
前述した10の事実のうち「(1)ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみなあとからついてくる。」を実践し、Googleは「金銭と引き換えに検索結果の順位を操作することは一切ありません」と宣言しています。
それは検索結果で表示されるサイトが、ユーザーにとって有益なものでなければならないからです。ときには、あるサービスについて、プラスの情報だけでなくマイナスの情報も掲載されているサイトかもしれません。
検索結果の上位表示の対価として、莫大な金額を支払う企業は数多あると思いますが、それを拒否するのは、ユーザーにとって企業の自社サイトばかりが羅列されるページになってしまうと、ユーザーに有益ではなくなってしまうからです。
有益だと思うからGoogleのユーザーが増える、そのユーザーを目当てに広告出稿を希望する企業が集まるという好循環が生まれています。
Youtube
元々、Youtubeは2005年に設立されたベンチャー企業でした。簡単に動画をアップロードでき、好みの動画を手軽に探せるシステムが人気となり、急成長。将来性を見込んだGoogleが、2006年に16億5,000万ドルで買収しました。
現在では、youtube人気は止まるところを知らず、動画の投稿で収入を得るYoutuber(ユーチューバー)は人気職業ランキングにも登場するほど身近になっています。
前述した10の事実のうち「(2)1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。」が当てはまるのがYoutubeです。早い段階で将来性を見抜き、買収をしてGoogleに取り込むことで、検索結果画面にはYoutubeにアップされている動画も表示されるようになっています。「Google では、他の分野でも検索技術を活用することで、ユーザーが生活のあらゆる面でさまざまな情報にアクセスして利用できるよう努力を続けています。」と記載していますが、まさにそれが実現しています。
Google翻訳
外国の情報が入手しやすくなった現在では、外国語に触れる機会も以前とはケタ違いに増えました。英語から日本語に翻訳するのはなんとなくわかるけれど、しかし、ロシア語やアラビア語ではいかがでしょうか。
そんなときに利用するのがGoogle翻訳です。Googleが掲げる10の事実の「(8)情報のニーズはすべての国境を越える。」を体現できるのが、このGoogle翻訳です。
100以上の言語に対応しているGoogle翻訳を使えば、自分の知らない言語で書かれた地球の反対側のコンテンツも読むことができます。
まさに「情報のニーズは、すべての国境を越える」に叶ったサービスだといえます。
Googleマップ
外出するときに手放せないのがGoogleマップです。目的地の住所や名称などを入力するだけで、今いる場所からの経路を瞬時に表示してくれます。
また、ただ単に目的地への経路をしらべるためだけでなく、自分が今いる周辺の情報を調べたりする使い方も多くなっています。たとえば、今いる場所の周辺にあるカフェや観光施設の情報が一覧で表示されます。その表示結果には、ユーザーが投稿したクチコミが記載されているため、どの飲食店にしようか選ぶ際の参考にできます。
Googleマップは10の事実のうち、まさに「(5) 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。」が当てはまります。マップを利用するのは、自宅の外にいるときが多いでしょう。外出先の情報を調べるのに、Googleマップほど有益なサービスはほかにありません。
スマートフォンデバイス
Googleが発売しているスマートフォン「Google Pixel」。Google自身が手がけるスマートフォンゆえに、Googleが考える理想が詰まっています。
次世代高速通信の5Gに対応する機種、暗闇でもきれいに撮影できる高性能・高画質カメラを搭載、大容量バッテリーで1回の充電で長時間使うことができる、などユーザーファーストを貫いた性能を実現しています。
Google Pixelだから使える機能も多数。その一つが「リアルタイム翻訳」です。これは、高性能イヤホン「Pixel Buds」とスマートフォンにインストールしたGoogle翻訳アプリを組み合わせることで、スマートフォンに話しかけた言語をリアルタイムで翻訳して、イヤホンに流してくれるサービスです。
Googleの理想が詰まったのがスマートフォンデバイスといえます。
Googleフォト
Googleのサービスの代表格ともいえるのがGoogleフォトです。コンセプトは「AI(人工知能)の機械学習でユーザーの思い出整理を手伝う」こと。
基本方針は次の3点です
- ユーザーのすべての写真と動画をまとめておけるホームになる
- 膨大な量の写真と動画を整理し、人生の思い出として愉しめるようにする
- 大切な思い出を、大切な人と簡単にシェアできるようにする
撮影場所や写っている人物の顔認識によって写真を整理できます。
顔認証やAIの技術をターゲティング広告に利用しないのか、と問われたGoogleは「写真はものすごく個人的なものだから、関連する広告を表示するようなことは絶対にしない」と回答したそう。
2021年6月に無料で利用できる容量に制限が設けられるまで、無制限で高画質の写真をクラウドで保存できていました。現在は、無料で利用できるのは1アカウントあたり最大15GBで、追加料金を支払うことで容量を増やすことができます。
Googleフォトが登場するまで、画像や動画の保存枚数は、所持する端末の容量に制限され、さらに整理するのもとても煩雑でした。しかし、Googleフォトの登場によってその制限から解放され、撮影した写真の整理も共有も簡単にできるようになっています。
Googleフォトは、前述した10の事実のうち「(2)1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。」を実践しているといえます。
「写真を安全に管理し、整理する」。それを追求したことで、大量の写真データがGoogleフォトに集まり、それらをAIが解析することで、他者よりも優れた画像認識技術を手に入れることができました。
Gmail(グーグルワークプレイス)
プライベートでもビジネスでも利用できる優れたクラウドサービスがグーグルワークプレイスです。
ワークプレイスが提供するサービスの一つがGmail。Gmailがリリースされた時期は、他社と比べて決して早いわけではありませんでしたが、現在のように定着したのには理由があります。
それは、容量と操作のしやすさです。
Gmailがリリースされたとき、当時リリースしていたどのメールサービスよりも多くの保存容量を提供していました。当時は「そんなに大きな容量が必要なのか」という見方もありましたが、今では他社がGメールを基準として容量などを決めています。
また、メールの見やすさ、仕分けのしやすさ、返信や転送などの操作のしやすさゆえに、多くのユーザーが他社からGmailへと切り替えることに。
ドライブに関しても、容量の大きさと優れた操作性はGmailと共通しています。無料アカウントで利用できる容量は、15GB。ファイル共有など操作性の高さも特長で、各種ファイルを共有するには、当該ファイルのURLをシェアすれば、簡単に他人に共有できるうえ、アクセスできるをメールごとに取捨選択もできます。
Googleが掲げる10の事実の「(10)「すばらしい」では足りない。」を追求したがゆえに、圧倒的な地位を築くことができています。
ジャンル別売上からGoogleを把握する
Googleが公表している決算情報から、Googleの収益減を見ていきましょう。
まず、主な収益源は、広告収入です。
Googleの親会社アルファベットが2021年7月に発表した第2四半期(4-6月)の決算では、売上高が618億8000万ドル(約6.8兆円)でした。これは、前年同期比62%増。純利益は2.7倍の185億2500万ドル(約2兆円)となり過去最高益を記録しています。
セグメント別に見ますと、Googleサービス(広告、Android、Chrome、ハードウェア、Googleマップ、Google Play、検索、YouTube)の売上高は63%増の570億6700万ドル。
YouTubeの広告以外による収入(YouTube Premiumのサブスクリプション料金など)やPixelなどのハードウェア、アプリストアの売り上げなどを含む「Googleその他」の売上高は29%増の66億2300万ドルでした。
Googleクラウドの売上高は54%増の46億2800万ドルで、営業損失は5億9100万ドル。前年同期の営業損失は14億2600万ドルでした。
新型コロナウイルスの影響による在宅勤務や在宅学習、巣ごもり消費を追い風にして、Googleのサービスを利用する人が増えたことが大きく売り上げに貢献しているのが分かります。
Googleの最近の動向
理念が集約されているオンラインサービスを続々とリリースしてきたGoogleですが、オフラインのプロダクトではどのようにその理念を紐付けているのでしょうか。Googleが最近、リリースしたプロダクトを見てみます。
(1)Google Pixel Buds
Googleが発売したワイヤレスイヤホンがこのGoogle Pixel Budsです。サウンド表現が豊かであること、デザインにもこだわりがあるのはもちろんですが、「Googleアシスタント」と呼ばれる機能がユーザーに好評です。
Googleアシスタントは、耳につけた状態で「OK,Google」といえば、ハンズフリーで起動します。起動すると
- Googleマップで「目的地までの所要時間」や「現在地の周辺情報」を聴くこと
- 思いついたらアイデアや考えを読み上げることで「メモ」できること
- SMSを送信すること
などをハンズフリーでおこなうことができます。
参考元:Google Pixel Buds A-Series、豊かなサウンドをお手ごろ価格で – Google ストア
(2)Google Nest Hub(第二世代)
Googleアシスタントを搭載するスマートディスプレイです。使い方はさまざま。ワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds」と同じように、声で話しかけたり、手をかざすことで、さまざまな操作ができます。
キッチンに置けば、料理の途中でレシピを忘れた場合でもジェスチャーや声でレシピを確認できますし、「音楽をかけて」といえば料理の合間に好きな音楽をかけることができます。
寝室では、睡眠中の呼吸の回数や寝言、いびきなどを感知して睡眠状態を分析してくれ、Google Nest Camと組み合わせて使えば、カメラがとらえた画像をディスプレーに写すことができます。
レシピを確認したり、音楽の再生と停止をするのに指で操作するのは、面倒なもの。手が汚れていれば、なおさらです。
参考元:Google Nest Hub(第 2 世代) – Google ストア
Google Pixel BudsもGoogle Nest Hub(第二世代)も、Googleが掲げる10の事実の「(5) 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。」を体現できるでしょう。ランニング中でもキッチンで料理をしているときでも情報は欲しくなります。
Googleのまとめ
Googleは私企業に過ぎませんが、日常生活に欠かすことができないサービスを次々を打ち出し、オフラインのプロダクトのリリースも続いています。そのすべてが理念や「10の事実」に沿ったものです。
Googleが手がけるサービスに広告を出稿している企業は多いと思います。その際に、これまで見てきたようなGoogleが掲げる使命や「10の事実」を把握しておくことが、真に効果的な広告を出稿する近道になるはずです。
タガタメの編集部です。読んで頂いた人がすぐ行動できるメディアを目指し、サービス提供を通じて汎用的で皆さんがすぐ使えるノウハウや情報を発信していきます。
おすすめ記事
タガタメでは一業種一社限定の
WEBコンサルティングを提供。
・どんな広告が良いのか悪いのか分からない
・サイト改善してコンバージョン率を上げたい
・担当者への要望がなかなか反映されない
お気軽にお問い合わせください。